ジョイントカッターとは、木材に薄く平らな溝をあけるための切削工具です。2つの木材に溝をあけ、ビスケットというパーツを嵌めることで木材同士を接合することができます。釘を使わなくても強固かつ外観の良い木組みを作れるのが魅力です。
その使い方からビスケットジョイナーとも呼ばれるこの工具は、マキタやデウォルトなど、さまざまなメーカーから販売されており、どれを選べばよいのか迷ってしまいますよね。
そこで今回は、ビスケットを差し込むための溝をあけるジョイントカッターの選び方と注意点を解説します。また、おすすめのジョイントカッターもご紹介しますのでチェックしてみてくださいね。
ジョイントカッターの使い方

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ジョイントカッターを使う前に、まずは木材への墨付けと工具の設定を行います。木材に入れたい溝の中心線を引き、もう一つの木材にも同様に印を付けましょう。この手間を惜しむと2つの木材が正しく接合せず、歪んだ仕上がりになってしまいます。
工具側の設定は、工具前面にあるフェンスガイドの角度・高さ・切込深さの3つです。角度は木材の接合方法で決めます。大抵は90度で使うことが多いものの、アングルで組む場合は角度を調整してください。高さは木材の印と一致するように、切込深さはビスケットの幅に合わせて設定します。
調整が終わったら、スイッチを入れてカッターブレードを回しましょう。木材にフェンスガイドを当て、上から手で押さえつつジョイントカッターを押し込んでいきます。木材の中心線にフェンスガイドのセンターマークが来るように当てることで、正確に溝を作ることが可能です。
2つの木材に溝をあけたら、あとは接着剤をつけたビスケットをはめ込むだけです。ビスケットが接着剤の水分を吸収して膨らむことで、溝の中でしっかりと固定具の役割を果たします。ビスケットで接合したなら、外れる心配はほぼありません。
ジョイントカッターの選び方
ジョイントカッターを選ぶときは、電源形式・対応するビスケット・集塵方法を見ましょう。これら3つのポイントの違いにより、使いやすい板材や本体価格に大きな差が出てきます。
電源から選ぶ
ジョイントカッターで行う作業の内容によって、適した電源形式は異なります。小さな家具の作成はコード式、大型のものを作るなら充電式がおすすめです。
充電の必要がないコード式

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コード式のジョイントカッターはあらかじめ充電する必要がなく、気軽に使うことができます。コンセントにプラグを差し込めば電源供給がされるので、すぐ作業へ取りかかれるでしょう。
コード式のデメリットは、電源コードの長さによって移動が制限されることです。とくに大型の木材に使用する際にはコードを引っかけないように注意してください。流れ作業の中でビスケット用の溝をあけるなど、家具作成を本業としている方にコード式は向いています。
移動に制限がない充電式

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バッテリーから動力を得る充電式は、電源コードによる移動の制限を受けません。とくに大きい木材の四方に溝をあけたい時にコードが引っ掛かる心配がなく、作業箇所へ移動しやすいメリットがあります。
充電工具のデメリットといえば、稼働時間が限られることです。しかし、ジョイントカッターは長時間使い続けることが少なく、大きめの本棚でも必要な溝を作るのに2時間はかからないでしょう。家具類を一つずつ作成するDIYであれば、充電切れはあまり起こりません。
使用するビスケットから選ぶ
ジョイントカッターは、製品仕様によって使用するビスケットが異なります。有名なのはリーフ型のビスケットですが、大きさ・素材・形状が異なるケースもあるため注意が必要です。
一般的な♯0~20のビスケット

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木組み用のビスケットといえば、このリーフ型のチップが広く知られています。ブナの圧縮材や合板などで作られており、幅は広く厚みはあまりありません。このタイプで接合するとしっかりした強度が出せるので、薄い板材を継いで大きな板にしたい時にも便利です。
ビスケットは小さいサイズから#0、#10、#20と呼称されます。幅が大きくなると必要な切込深さも増えますが、側面のカーブは同じように作られています。このタイプに適合している機種なら、3種類のどれにも対応した溝を作ることが可能です。
♯0~20のビスケットに対応しているジョイントカッターは、マキタやデウォルトから販売されています。とくにマキタは自社製ビスケットを販売しており、機体精度も高いと評判です。
小型のFFサイズ

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#0~20のビスケットは幅のある木材には重宝しますが、額縁用などの幅がせまい木材では表面からはみ出てしまいます。そのようなケースに使われるのがFFサイズのビスケットです。
FFサイズは#0よりも一回り小型に作られています。一見すると#0~20と同じ見た目ですが、側面のカーブはややきつい形状です。
このFFサイズ用の溝は、マキタやデウォルトの製品ではぴったりした溝を作ることはできませんが、ポーターケーブルのプレートジョイナーであけられるようになっています。
特殊なドミノ型

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ドミノ型は小さな楕円柱状のビスケットです。リーフ型よりも木材に深く埋め込むことになり、木材同士をより強固に接合してくれます。とくに幅が広くない薄板材や柱材をしっかり接合したい時に重宝するでしょう。
ドミノ型に対応しているジョイントカッターは、フェスツール製のドミノジョイントカッターです。専用カッターは楕円形の穴を掘るように設計されているため、通常のビスケット用の溝は作れません。
厚みのあるプラスチック製

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ここまで見てきたビスケットはどれも木から作られていましたが、こちらはプラスチック製です。
ラメロから販売されているクラメックPというノックダウン金具で、2つに分離させたクラメックPを接合したい2つの木材にそれぞれはめて使います。クラメックP用の溝は、ラメロ製のジョイントカッター、ゼータでしか作れません。
ゼータはブレードが特殊な動きをして奥側が広がっているT溝を作ります。このT溝に横から滑らせるようにクラメックPを差し込むことで、外れにくくすることが可能です。
集塵方法から選ぶ
木材に溝をあけていくジョイントカッターは、カッター部の脇から切削片が排出されるようになっています。後の掃除が楽になるように、ダストバッグか集塵機接続でゴミを集めましょう。
簡易的に集塵ができるダストバッグ

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電動工具の集塵として、ダストバッグは基本的な方法です。ほとんどのジョイントカッターにはダストバッグが付属しており、別途用意する必要がありません。ただし、ダストバッグは切削片が入るままに集めるだけなので、粉塵は多少舞ってしまいます。
また、ジョイントカッターは1箇所につき2つの木材に溝をあけるため、ゴミの溜まりは想像以上に早いものです。はめ込むビスケットの質量以上のゴミが出ることは確実なので、定期的にゴミ捨てをしましょう。
細かな粉塵も吸い込める集塵機接続

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集塵機に接続すれば、ダストバッグよりも衛生的に作業ができます。溝をあけるそばから吸引してしっかり集めてくれるので粉塵を吸い込むことを減らせるでしょう。
集塵機接続のためには工具用の集塵機を用意しなくてはいけません。この集塵機を選ぶときには電源連動しているものがおすすめです。
ジョイントカッターは数箇所に溝をあけるため、集塵機側の電源オン・オフ管理は必要ない方が作業に集中できます。
ジョイントカッター使用時の注意点

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ジョイントカッターのブレードは、板材に押し込んでいないときは機体の外側へ出ないようになっています。比較的安全ですが、動作中は回転するブレードに注意してください。
とくにシャツ裾やネクタイ、ブレスレットなどは巻き込まれるおそれがあります。また、作業中は防塵マスクとゴーグルを装着しましょう。
ジョイントカッターで溝を作るとき、木材を上から見ることになります。この時に削った木片が上へと舞う可能性があるため、保護具を装着していた方が安心です。
ジョイントカッターのおすすめ人気ランキング7選
ジョイントカッターは国内のマキタを除けば、アメリカ・ヨーロッパ企業の製品が多数を占めています。製品仕様のほかに、説明書が読めるかどうかでも考えるようにしてください。
1位 マキタ 充電式ジョイントカッタ 18V PJ180DZ

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重量:2.8kg
電源:充電式
対応ビスケット:#0~20
集塵方法:ダストバッグ・集塵機接続
信頼性の高いマキタの高性能製品
マキタ製のジョイントカッターは、操作しやすい点と高い精度に定評があります。角度・切込深さはストッパ付きなので精密な調整が可能であり、高さ調整も簡単です。
アングルガイドを外すことで、部材表面から10mm・6mmの位置に一発調整もできます。集塵用にダストバッグが付属しており、取り外せば集塵機にも接続することが可能です。
1充電あたりの作業量目安は約200回なので、しっかり充電すれば電池切れの心配はないでしょう。なお、この商品は本体のみであり、バッテリー付属では高価になります。
2位 マキタ ジョイントカッタ PJ7000

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重量:2.3kg
電源:コード式
対応ビスケット:#0~20
集塵方法:ダストバッグ・集塵機接続
高い精度を持ちながら安い価格が魅力
こちらはコード式の製品で、基本的な使用方法はPJ180DZと同じです。
コード式は作業中の移動がやや不便になるものの、バッテリー込みの充電式よりも価格は安価になっています。DIY初心者や小型家具のみを製作する方におすすめです。
3位 デウォルト ジョイントカッター DW682K

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重量:4.82kg
電源:コード式
対応ビスケット:#0~20
集塵方法:ダストバッグ・集塵機接続
アルミ製フェンスを採用した堅牢な製品
アメリカの電動工具メーカーであるデウォルトのジョイントカッターです。基本的な操作感はマキタのものと同じですが、フェンス部分が強度の高いアルミ製であることが高評価を得ています。使用するビスケットはマキタ製のものでも問題ありません。
なお、電圧規格は110V/120Vなので、日本の家庭用電圧100Vでは少しパワーが落ちます。
説明書も英語なので、細かな操作方法が分かりにくい点に注意しましょう。工具類の操作に慣れた方向けの製品です。
4位 ポーターケーブル プレートジョイナー

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重量:5.171kg
電源:コード式
対応ビスケット:FFサイズ
集塵方法:ダストバッグ
対応ビスケットが広い人気製品
このプレートジョイナーは、小型ビスケットであるFFサイズを使いたいときに重宝します。動作音が静かであり、切り口も滑らかであると好評です。
また、設定を替えることで♯0~20や、シンプレックスという特殊ビスケット用の溝もあけることができます。
こちらも説明書は英語であり、ジョイントカッターが初めての方には向いていません。
5位 フェスツール ドミノ DF500Q ジョインターセット

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電源:コード式 充電式
対応ビスケット:ドミノ型
集塵方法:集塵機接続
ドミノでの木材接合をするためのツール
この製品はドミノ型ビスケット用の溝をあけるため、特殊な刃を採用しています。この刃が回転しつつ振り子運動をすることで、一定幅の溝をつくる仕組みです。
ダストバッグは付属しないため、集塵機に接続して使いましょう。
6位 ラメロ P-システム ゼータP2 ジョイントカッター

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電源:コード式
対応ビスケット:プラスチック製
集塵方法:集塵機接続
上下動するブレードが特殊ビスケット用の溝をあける
クラメックスP用の穴をあけるための製品です。ブレードは特殊な上下動をして木材の一番奥にT溝をあけるようになっています。
また、上下動を解除してカッターブレードを標準用に切り替えれば、一般的な♯0~20のビスケットにも対応可能です。クラメックスPで木材を接合するときには、埋め込んだ後に内部の金具を回す必要があります。
そのため、木材表面からビスケット用の溝まで届く小さな穴をあけなくてはいけません。穴あけ用6mmドリルも付属していますが、あけた穴は端材で埋めるようにしましょう。
7位 トリトン ビスケットジョイナー BJJ300

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対応ビスケット:#0~20
集塵方法:集塵機接続
専用テーブルと組み合わせて簡単に溝をあけられる
この商品は、トリトン製のルーターテーブルRTJ300にセットして使用します。
テーブルにカッターを取り付けてビスケットジョイナーをセットし、継手の位置を調整したら木材をカッター部に当てるだけです。寸法を測る必要がなく、簡単に作業ができます。
ルーターテーブルの集塵ホースをフェンス後方に接続でき、粉塵対策も万全です。作業用テーブルの導入を検討している方は、RTJ300とセットでの購入を考えてみてください。
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まとめ
ジョイントカッターで木材に溝をあけると、ビスケットを差し込んで別の木材と接合することができます。ジョイントカッターの選び方では、電源形式・対応するビスケット・集塵方法を見るようにしましょう。
小さめの家具を作るなら、小さいビスケットにも対応したコード式、大きめの家具では充電式を選ぶとよいです。集塵方法はダストバッグが手軽ですが、作業量が多いなら集塵機に接続した方が衛生的に作業できます。
海外企業のものを使用する場合は、日本語の取扱説明書が入っていないこともあります。ジョイントカッターが初めての方は日本語説明書付きだと安心です。用途に合わせてジョイントカッターを使いこなしていきましょう。