切削油(せっさくゆ)は、木材や金属を加工する際に使うことでより精密かつ効率的に作業することができるもの。切削油には水溶性と油性などの成分の違いや様々な種類があり、有名メーカーには「サンワケミカル」「日立鉱油」「ルビシルジャパン」などがあります。
今回この記事では、「切削油とは何か?」「切削油を選ぶ際に重要な点は何か?」という基本的な情報に併せ、「実際に人気のある切削油はどれか?」についてまで網羅的にご紹介していきます。切削油を検討中の方は、是非参考にしてみてください!
切削油の用途
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切削油とは、金属などを加工する際に様々な面でサポートしてくれるものです。主に「摩擦の抑制効果」や「冷却効果」「錆防止効果」「加工促進効果」などがあり、工具の寿命を延ばしたりより緻密な加工を施すことができます。
また、従来油性のものが多く流通していましたが、現在では水溶性のものも多く見られ「切削剤」とも称されます。油性と水溶性の違いについては後述しますが、加工対象物や加工環境によってそれぞれに合った切削油を選ぶ必要があるでしょう
切削油を使うことで得られる効果
では次に、切削油を使うことで得られる効果はどのように影響するのか、についてご紹介していきます。切削油を利用する時には、加工する際にどのような効果を得たいのか正しく認識する必要があります。ここで切削油の効果について、ざっくりと理解しておきましょう。
対象物を冷却しすることで安全に加工ができる
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金属や木材などを加工する際には摩擦が生じ、熱が発生します。熱があると工具の金属部分が膨張してしまうため、イメージしたものとは異なる加工・仕上がりになってしまう恐れがあります。
そこで、切削油を利用し加工部分の熱を冷却することで、機械の膨張を防ぎ精密な加工ができるようになります。
また、同時に切削油の「潤滑性」も加わり、摩擦を抑えることで熱の発生を最小限に留める働きも。精密な加工を施す場合、切削油は必要不可欠なものであると言えるでしょう。
工具の耐久性を上げることができる
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切削油を使うことで工具と加工対象との摩擦抵抗を抑えることができますが、これは「工具の寿命を延ばす」ことになります。摩擦抵抗が大きければ大きいほど工具への負担も多く、部品交換までの寿命が短くなってしまいます。耐久性を上げる効果があるということですね。
また、加工点に切削油を使うことで、研磨や切断の際に発生する切りくずが工具に詰まることなどを未然に防ぐことができます。精密な工具であるほどクズによって使用不可になってしまいますよね。切りくずをまとめて排除する役割もあり、工具の手入れも楽になるでしょう。
切削油は種類で選ぶのがおすすめ
切削油は先述した通り、加工対象物や加工環境に合ったものを選ぶ必要があります。基本的には水溶性と油性どちらの種類にするかが重要となるため、それぞれのメリットについて見てみましょう!
水溶性切削油
水溶性切削油の主なメリットは、「切りくずの排除」「清潔さ」「安全性」に優れているという点。中でも「安全性」は大きな魅力であり、引火を心配することなく作業に取り組むことができます。コストも油性より低いため、資金の節約にも繋がりますね。
また、水溶性切削油は特に「冷却性」に優れているため、冷却性が重要とされるチップで行う旋削加工などに適しています。ただ、やはり切削能力は油性よりも劣り、人気のある切削油はそのほとんどが油性のものです。
水溶性切削油は「エマルション」「ソリュブル」「ソリューション」といった3つの種類に分けられます。その3種類の水溶性切削油についても、特徴を見ていきましょう。
エマルションの特徴
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エマルションは、3つの中でとりわけ「潤滑性」に富んでいるもの。「潤滑性」を重視したいが、清潔面や安全性という観点から水溶性切削油を使いたいという方にオススメです。
ただし、「潤滑性」に富むということは洗浄が比較的しにくいということにも繋がります。こちらの注意点も合わせて覚えておきましょう。
ソリュブルの特徴
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ソリュブルは、3つの中でとりわけ「洗浄がしやすく、冷却効果も高い」ものです。そのため、なるべく機械の膨張を防ぎたい、加工環境を清潔に保ちたいという方にオススメです。
ソリューションの特徴
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ソリューションは、3つの中でとりわけ「冷却性」に優れているものです。潤滑性は劣るものの、大きな熱の発生が予測される場合に活用できます。
また、実は加工をする時に加工面に「泡」が生じてしまうと、冷却効果というのは格段に落ちてしまいます。ソリューションはそういった事態にも備え、「消泡性」にも優れているため、高い冷却効果をキープすることができます。
油性切削油
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油性切削油の最大のメリットは「潤滑性が非常に優れている」という点です。潤滑性が良いということは「工具の耐久性」「加工の精密さ」などに良い影響を与えるということ。特に、「ドリル」や「タップ」などの潤滑性が重要となる工具を使う時に活躍します。
また、水溶性切削油よりも粘度があることから、「加工点から切削油が落ちてしまう」こともあまりありません。加工空間に残りやすいことで加工面の錆びつきを抑える効果も。「清潔さ」や「安全性」については水溶性切削油に劣るものの、精密加工、切断力という点に関しては高く評価されています。
塩素が入っているかどうか
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塩素を含む切削油は「非常に優れた切削能力」を持つものとされ、よりスムーズで正確な加工をすることができます。そのため、塩素を含んだ切削油はこれまで加工時に良く使われていました。しかし、実は塩素は人体に与える悪影響が強く、現在では「フリー塩素切削油」への転換が推奨されています。
確かに切削能力は高いのですが、単なる焼却ではダイオキシンが発生し、処分費用も必要になります。また、そもそも塩素添加物は発がん性物質とされています。企業で使用する場合など、特に安全性を重視するのであればフリー塩素切削油をオススメします。
切削油のおすすめ人気ランキング10選
1位 住鉱

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主成分:鉱物油、合成油、塩素化パラフィン
切削加工がしにくい素材にピッタリ!
この切削油は、ステンレスなど切削加工が難しいとされる素材に適しています。主に「ドリル」「タップ」「ダイス」「リーマ」による加工時に利用でき、またスプレー式という点も使いやすさの理由として挙げられます。
ただ、原材料の中に「塩素化パラフィン」が含まれている点には注意が必要。分解しにくく、さらに人体に毒があるとされるため、日常におけるDIYで使うにはリスクが高いでしょう。
2位 TRUSCO(トラスコ)

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主成分:石油炭化水素
ほとんど全ての素材に高い威力を発揮!
ステンレスはもちろん、銅板や銅合金を除くほぼ全ての素材に利用できる切削油。切削サポート能力も極めて高く、またペーストタイプの割には低コストで購入可能です。
しかし、油性切削油は水溶性切削油よりも腐食性がないのですが、この切削油は添加剤によって腐食性を持ちます。使用後はすぐに「アルカリ洗浄剤」や「白灯油」による洗浄が必要となるため注意しておきましょう。
3位 AZ(エーゼット)

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ガラスや陶器に利用できる貴重なもの!
切削加工というと、金属板や木材などのイメージが強いですが、ガラスや陶器を加工することもあります。その時に利用できるのが、こちらの切削油。ガラスや陶器専用の切削油ということで他の素材には利用できませんが、切削性や摩擦力の抑制には優れています。
また、スプレータイプとは異なる形状ですが、細かな場所へ正確に投入できるという点も高く評価できます。
4位 JIP 超切削スプレー

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主成分:鉱油・錆剤・極圧添加剤・LPG
安全性が高く安心して利用できる!
最大の特徴は、「塩素」「リン」「活性イオウ」「重金属」などの人体に悪影響を及ぼす原因となる物質が原材料に含まれていないという点。利用時に害のある物質が出ることもなく、安全な環境で作業に取り組めます。
また、名称通り切削性に優れていますが、特に「潤滑性」を重視した切削油であり工具の消耗を抑制。さらに、腐食性のある物質も含まれていないことから、加工対象や工具が腐食することもありません。
5位 TRUSCO aタッピングスプレー

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主成分:鉱物油、合成油、極圧添加剤
軽いトルクで難削材も簡単に加工可能!
仕上がりの美しさや、難削材でも軽いトルクで切削できるのが特徴的な切削油。難削材用ではありますが塩素フリーのものであり人体への影響も最小限に留めています。
また、発熱や発煙、臭気が少ないというメリットもあり、切削性と安全性のバランスが非常に良く取れている切削油です。メインで使うことはなくとも、1つ持っておくとより広い加工シーンに対応できるでしょう。
6位 BASARA ステンコロリン

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主成分:植物油、植物油合成油、添加剤
塩素フリーのステンコロリンシリーズ!
「ステンレスが豆腐になりました」というフレーズが有名な、ステンコロリンシリーズの緑。高い切削性はそのままに、「塩素フリー」「植物油ベース」という安全性も高め上げた切削油です。
だからといって、切削できないものが増えたということもなく、ほとんどの金属に使用可能。ステンコロリンの赤を使うには安全性に不安がある方はこちらをオススメします。
7位 レプコ 植物性切削油 サスがレボー 6001EL

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主成分:植物油
環境に良く洗浄性に優れている!
セミドライ切削加工時に適している切削油であり、また植物油がベースとなっているため洗浄性にかなり優れています。色も透明であり、作業場を汚すことはあまりありません。
この切削油のブランドであるレプコは、ヨーロッパの安全基準に沿った切削油を提供しています。こちらを含めた2種類の切削油しか提供していませんが、何よりも清潔・安全について重要視するのであれば最適でしょう。
8位 BASARA ステンコロリン 油性

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主成分:鉱物油、添加剤
全ての面において優秀!
高い切削性や仕上がり、また加工対象の広さなど、あらゆる面で優れている切削油です。ただし、先述したステンコロリン緑とは違い、塩素系のものであるため利用には細心の注意が必要でしょう。
しかし、「どんな素材でも切削加工に困ることはない」と表現している通り、切削性には非常に大きな自信があると公言しています。赤と緑を両方持つことで、様々なシーンに対応できるようになるでしょう。
9位 TRUSCO(トラスコ) モリタッピングスプレー

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主成分:鉱物油、二硫化モリブデン、添加剤、合成油、塩素化パラフィン
腐食や錆に強く、加工対象や工具を守る!
この切削油の特徴は、防腐防錆に優れているということ。塩素やリンといった危険な原料こそ含まれているものの、工具の寿命や加工対象の保護に関しては優秀です。
難削材用として提供されているものであるため、ステンコロリン赤よりも低リスクで難しい加工をこなすことができるでしょう。
10位 日本工作油 タッピングペースト 油性

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主成分:石油系炭化水素
歴史あるブランドで信頼度が高い!
日本工作油株式会社は昭和2年から続く歴史あるブランド。切削油に関しては、数千もの企業で利用されているなど実績も見られ、切削油の中では特に信頼性が高いと言えるでしょう。
タッピング加工の他あらゆる低速切削加工時に利用できるため、どの切削油を選べばいいかわからない方に「失敗しない切削油」としてオススメできます。
おすすめの商品一覧
製品 | 最安値 | 評価 | リンク |
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油性切削油の危険性は把握しておこう
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先述しましたが、油性切削油は高い能力に併せて大きな危険性も兼ねています。例えば、冷却性に乏しい油性切削油を使用した時に熱の抑制が上手くいかなければ、飛びちった火花が油性切削油に引火するといった危険性が考えられます。
できるだけ家庭での利用は避け、また企業が大規模な加工を行う時には「熱抑制を徹底する」ことに併せ、すぐに引火に対応できるよう近くに消化装置を置くことを心掛けましょう。
まとめ
この記事では、切削油の用途や種類、オススメ商品についてご紹介してきました。切削油は加工をする際に必須のアイテムではありますが、種類によっては大きな危険を伴うこともある点に注意が必要です。
決して何となくで購入することなく、切削油を使う場所使う対象をしっかりと把握した上で、どの切削油を使えばいいのか選ぶようにしましょう。