私たちの身の回りには、塗装でコーティングされているものが数多くあります。塗膜が薄すぎたり厚すぎたりすると、ひび割れやサビの原因になるため、塗膜の厚みを測る膜厚計は必須アイテムです。
膜厚計はケツト研究所・サンコウ電子・サトテックといったメーカーの商品が有名ですが、電磁式・超音波・赤外線と種類も多くどれを選べばいいか迷ってしまいませんか。
この記事では膜厚計の使い方から選び方、おすすめ商品をご紹介していきます。塗装工程における膜厚管理はとても重要なので、あなたの測りたい塗膜にぴったりの膜厚計を選びましょう。
膜厚計とは
膜厚計とは塗装した面の厚みを測定するための測定機器です。塗装するときは最も良い塗膜にするために、膜厚計を使い塗装面の厚みを測定することが大切です。
例えば、塗膜が薄い場合、光沢がなくなる、塗装面にムラがでる、母材がサビやすくなるなどがありますが、逆に塗膜が厚くても、塗料の無駄遣いになる、ひび割れの原因になるなどと、見た目が悪くなるどころか母材がサビる原因になります。
また、車種によっても違いますが、一般的に車の塗膜の厚みはすべての塗装工程を含め、合計で100μ(ミクロン)程度、ミリ単位でいうと0.1㎜程度です。塗装はミクロの単位でツヤが変わってくるので、塗装工程において膜厚計は必需品です。
膜厚計の使い方
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膜厚計は、持ち運び式と卓上(据え置き)式の2種類ありますが、ここでは持ち運び式の膜厚計の使い方について説明します。卓上式の膜厚計は各メーカーごとに設定方法や使い方が異なるので詳しくは各メーカーの取扱説明書をご覧ください。
持ち運び式膜厚計の使い方はたいへんシンプルで、電源を入れ、測定したい塗膜にプローブ(機器についている測定機)を当てるだけです。測定する材質(メッキ、塗膜、ゴム等)によって設定を変える必要があるので、購入した際に取扱説明書を読んで設定してください。
また、サトテックが販売しているガンタイプの膜厚計は、ガンを押すだけで塗膜が測定できます。一般的な膜厚計やガンタイプの膜厚計はどちらも塗膜を傷つけずに膜厚を測定できるので、品質も安心です。
膜厚計の選び方
膜厚計には多種多様の商品があり、母材・膜厚・精度・環境によって測定する膜厚計も変わってきます。あなたが測りたい膜厚に合った膜厚計を選ぶ必要があるので、ここで紹介する膜厚計の選び方をしっかり理解しましょう。
選び方のポイントは、タイプ、測定する環境、測る厚み、メーカー、アフターケアサービスを確認することです。これらをチェックし、測定環境にあった膜厚計を選んでください。
また、精度を要する膜厚計は、金額が高くなってきます。使用頻度が少ない場合は、レンタルサービスを検討してもよいでしょう。
タイプで選ぶ
膜厚計にも塗膜の測り方に違いがあります。測り方の違いで、金属に塗る塗料の塗膜が測れる機器、非金属に塗る塗料の塗膜が測れる機器など、膜厚計を使用する環境が変わってきます。
あなたが測定したい環境に合う、膜厚計のタイプを見極めましょう。
磁石の力を利用した電磁式膜厚計
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磁石の引っ張る力を利用して膜厚を測定する膜厚計です。測りたい膜厚にプローブを当てると、磁石の力で測定ができる仕組みになっています。
膜厚が厚い場合、母材との距離が遠いので流れる電流が小さく、膜厚が薄い場合、母材との距離が近いので流れる電流が大きい値になります。
電磁式膜厚計の場合、【母材が磁性金属】で【母材が非磁性皮膜】が条件になり、母材は鉄・鋼・マルテンサイト系ステンレス・フェライト系ステンレスなどで、塗膜はペイント・メッキ・樹脂系・ゴム・プラスチックなどを測定することができます。
電流の渦を利用した渦電流式膜厚計
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電流の渦を利用して膜厚を測定する膜厚計です。コイルが内蔵されているプローブを測定したいものに当て、金属面に生じる渦電流と下地までの距離が比例する性質を利用して膜厚を測定することができます。
膜厚が厚い場合、母材との距離が遠いため渦電流値が小さく、膜厚が薄い場合、母材との距離が近いため渦電流値が大きい値になります。
渦電流式膜厚計の条件として【母材が非磁性金属】で【塗膜が絶縁皮膜】が条件になり、母材はアルミニウム・真鍮・銅・などで、塗膜はペイント・プラスチック・ゴム・樹脂系などを測定することができます。
光の分光を利用した赤外線式膜厚計
赤外線を当て、光の透過や反射を分光し、そのスペクトルをもとに膜厚を測定する膜厚計です。主に製造業の工場内のフィルム製造ラインやコーティングラインに設置していることが多いです。
断続的に膜厚を計測し、オンラインで常にデータをグラフ化できることができます。対象物に触れることなく膜厚が測定できるので、品質が劣化することはありません。
建築現場で使われる超音波膜厚計
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超音波を出し、反射して返ってくるまでの時間をもとに膜厚を測る膜厚計です。一層目、二層目、三層目など複数の膜厚を測定でき、建築現場などで使われることが多いです。
超音波の音速は材質ごとに変わるため、測定したい材質と異なる設定だと正しい値が出ません。測定したい材質を調べ、校正(設定を調整)しましょう。
高品質を求めるには分光干渉式膜厚計
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測定したいものに光を当て、塗膜の表面で反射した光のスペクトルをもとに膜厚を測定する膜厚計です。複数回塗装した後でも、各塗膜を測定できることが特徴です。
塗膜のムラや粗さなど目に見えない小さなサンプルも測定できるため、高品質の塗装が可能になります。
測定する環境で選ぶ
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持ち運びに便利な膜厚計か、据え置き型で断続的に膜厚を計測したいかによって選ぶ膜厚計は違ってきます。
持ち運びのしやすさを重視する場合は、【電磁式膜厚計】【渦電流式膜厚計】【超音波膜厚計】を選ぶと良いでしょう。しかし、雨天時に使う場合は防水加工になっているか確認する必要があります。
据え置き型の場合は、【赤外線式膜厚計】【分光干渉式膜厚計】を選ぶとよいでしょう。据え置き型は品質向上のため、工場のラインに設置されることが多く、どちらかといえば企業向けの測定機器です。
測る厚みによって選ぶ
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ペイントの厚みは1㎜以下ですが、樹脂やプラスチック、ゴムなどの厚みは1㎜以上もしくは1㎝以上の膜厚もあるでしょう。「買ったけど用途に合わず使えなかった…」とならないよう、測る厚みによって膜厚計を選びましょう。また、ここでは据え置き型の【赤外線式膜厚計】【分光干渉式膜厚計】は除きます。
各膜厚計に測定範囲の記載がありますので、購入の際は測定範囲を必ず見るようにしましょう。測定範囲は0~1500μmが多く、中には0~3000μmの広範囲を計測できるものもあります。
例として、車のコーティングの膜厚は100μm~200μmなので、かなり厚い塗装をする以外では一般的な測定範囲0~1500μmの膜厚計でカバーできるでしょう。
また、測定する膜厚がミクロン単位ではなく、ミリ単位の場合、ウェットフィルム膜厚計や簡易膜厚計をおすすめします。これは塗膜が乾燥する前にウェットの状態で膜厚を測定するものです。塗膜面を傷つけることになりますが、建築などで使われることが多いです。
アフターケアーサービスで選ぶ
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膜厚計は安いものではありませんので、故障した時に保障サービスがある商品を選んだほうがうよいでしょう。精密機械なので使っているうちに不具合がでてくる可能性もありますし、計測機器なので定期的に校正をしないと正確な値がでない場合もあります。
購入前に、保障サービスがしっかりしているか、校正できる商品かどうかの2つを確認しておきましょう。
膜厚計のおすすめ人気ランキング8選
ポケットサイズで簡単に測定できる膜厚計や測定精度が高い膜厚計などおすすめ商品をご紹介します。また、測定する環境によってプローブを選べる膜厚計もあるので用途にあった膜厚計を選びましょう。
1位 デュアルタイプ膜厚計 LZ-990 ケツト研究所

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測定範囲:0~2000μmまたは0~80.0mils
電源:単四電池2本
持ち運びに便利!小型膜厚計
箱から出してプローブをセットして…といった膜厚を測るまでの手間が一切かかりません。ポケットに入るサイズで簡単に膜厚を測ることができます。
母材を自動で判別し、鉄・非鉄でも対応でき、測定データをパソコンやプリンタに出力するころもできるため、小型でもかなりの機能を揃えています。
2位 膜厚計SWT-9100 サンコウ電子研究所

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72×30×156:プローブにより異なる
電源:単三電池2本
測定用途に合わせてプローブの付け替えが可能
膜厚計に接続するプローブを付け替えることができるサンコウ電子研究所の膜厚計です。
付け替えるプローブは鉄性・非鉄性・鉄性と非鉄製の両方の3種類があり、用途や測定対象によって接続プローブを選ぶことができます。
また、持ちやすさを追求したスリムなボディで長時間使っても疲れないでしょう。また、測定機器は英語表記なものが多いですが、このSWT-9100は日本語で分かりやすく説明しているので操作手順も簡単で、パソコンやプリンタへの出力も可能です。
3位 ガンタイプ膜厚計 CHY-115デュアル サトテック

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測定範囲:0~1000μm
電源:006P 9V電池×1個(約9時間連続)
トリガーを引くだけで測定が可能
対象物にガンを当ててトリガーを引くだけで簡単に塗膜を測定できます。プローブタイプの場合、対象物に対して垂直にプローブを押し付けないと、エラーになることがあります。しかし、ガンタイプ膜厚計だとエラーになる心配はありません。
また、連続測定モードがあり、最大値と最小値でアラーム機能もついているので塗膜のムラが瞬時にわかります。
4位 ハリーデジタル 01177 土牛産業

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測定範囲:0~10㎜
測定範囲:0~10㎜
ウレタン防水材などの膜厚検査に!
コンパクトで簡易デジタル膜厚計のハリーデジタル。測定範囲は0~10㎜で誤差は±0.1㎡程度です。膜厚の精度が厳しくないウレタン防水材等の膜厚を測定する時に便利です。
塗膜に針を刺してその長さを測るシンプルな構造です。
5位 簡易型ウエットフィルム膜厚計 くり型タイプ S-6500 サンコウ電子

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電源:-
塗装作業中に膜厚を測定できる膜厚計
塗膜がウエット状態の時に測定する膜厚計です。ウエットフィルムを塗膜に押し付け、塗料が付着する刃と付着しない刃の境目が膜厚になります。
例えば225μに塗膜が付着していて250μには塗膜は付着していない場合、塗膜は225μ~250μの間ということがわかります。塗料を傷つけることになり電子機器に比べ精度は劣りますが、塗料が乾燥する前に測定できることがメリットですね。
6位 超音波式膜厚計 ULT-5000 サンコウ電子研究所

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測定範囲:0.5~6.0㎜
電源:単三電池3本
コンクリート生地に使える膜厚計
コンクリート面を保護する樹脂ライニングなどの厚さを測定する膜厚計です。超音波の音速は材質によって変わりこの超音波式膜厚計はFRP系・エポキシ系・エポキシ+パウダ混合系・ウレタン系
の4種類の回路方式を採用しています。
また、母材は【コンクリート】【ストレート板上】【木材/皮/樹脂】の3種類で測定できます。また、超音波の伝達をよくするために付属のグリスは必ず塗りましょう。
7位 電磁式膜厚計 セパレート型ベーシック(磁性金属用)A456CFBS

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測定範囲:プローブによって異なる
電源:単三電池2本
防塵防水の電磁式膜厚計
鉄用・非鉄用・デュアル式の3タイプが使える膜厚計です。液晶画面がカラーで見やすく、防塵防水機能で雨や粉じんが舞うところでも測定できます。
プローブとの一体型もありますが、特にセパレート型がおすすめで、用途や試験法に合わせて全12種類のプローブを付け替えることができます。
8位 膜厚計 71FNミニテスト70シリーズ エレクトロ・フィジック

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測定範囲:0~3㎜
電源:単三電池1本
高精度でコンパクトな膜厚計
ポケットに入るくらいの小さいサイズで4つのボタンだけのシンプルな設計です。測定回数・平均値・標準偏差・最小/最大を表示することができ、測定範囲は0~3000μmとかなり広範囲の測定が可能です。
おすすめの商品一覧
製品 | 最安値 | 評価 | リンク |
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![]() デュアルタイプ膜厚計 LZ-990 ケ……
1
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117,521円 |
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![]() 膜厚計SWT-9100 サンコウ電子研究所
2
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128,200円 |
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![]() ガンタイプ膜厚計 CHY-115デュア……
3
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22,874円 |
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![]() ハリーデジタル 01177 土牛産業
4
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216円 |
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![]() 簡易型ウエットフィルム膜厚計 く……
5
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9,224円 |
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![]() 超音波式膜厚計 ULT-5000 サンコ……
6
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463,560円 |
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|
![]() 電磁式膜厚計 セパレート型ベーシ……
7
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72,524円 |
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|
![]() 膜厚計 71FNミニテスト70シリーズ……
8
|
105,467円 |
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まとめ
塗膜は、薄いとムラが目立ち、厚いとひび割れの原因になります。膜厚計は、コーティングをするうえで品質を保つために必要な計測機器です。膜厚計を選ぶ時には、タイプ、測定する環境、測る厚みなどのポイントをみて、目的に合った膜厚計を選びましょう。