スプロケットはチェーンと組み合わせることで、チェーンとスプロケットに接続された軸との間に相互に力を伝える機械部品です。自転車やオートバイ、物を運搬するコンベヤの部品として幅広く用いられています。シマノ・カンパニョーロ・ヤマハ・片山チエン・椿本チエインなどのメーカーが製造・販売を行っています。
スプロケットは汎用的な機械部品ではありますが、自転車用・コンベヤ用などの用途が商品ごとに決まっている場合がほとんどです。こちらの記事では、自転車用のスプロケットに注目し、その選び方を紹介します。
色々なスプロケットを試せる機会はなかなかありませんので、スプロケットの特徴・仕様を見極めて自分の走るコースや脚力に見合ったスプロケットを選びましょう。
スプロケットの用途

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自転車(ロードバイク・クロスバイク・マウンテンバイク)におけるスプロケットは、ギアを変えることでコースの高低差による脚への負担を変え、最も力をかけやすくする為の部品です。カセットスプロケットやスプロケと言った呼び方もされています。
自転車には2つのギアがあり、後輪に取り付ける物がスプロケットで、ペダル付近に取り付けるのがフロントチェーン(クランクスプロケット)です。フロントチェーンはインナーギアとアウターギアの2段(ギアが2枚。3段も有り。)ですが、スプロケットは8段から11段の物まであり、ギア1枚ごとの歯数の組み合わせが異なるので選択肢が多いと言えます。
自転車はギア比(フロントチェーンとスプロケットの歯数の比率)とケイデンス(1分間のクランク<=ペダルを漕ぐと回転する部分>の回転数)で出せる速度が決まりますので、タイムを気にする人は勿論ですが疾走感を大事にする人も走るコースや脚力に応じてスプロケットなどの部品を変えるという使い方をします。
そこまで自転車にのめり込んでいない人にとっては意外かもしれませんが、自転車が本当に好きな人は色んなスプロケットを持っていて、走るたびに変えて感触を確かめたり、その時の自分とコースに合った物を選んだりしています。
スプロケットの選び方
スプロケットを選ぶ際には、どれくらい勾配のあるコースを走るのか、自分の脚力と維持できるケイデンスはどれくらいかを基準とするのがおすすめです。レースに参加する人にとっては当然のことかと思いますが、趣味で気持ちよく走りたい人でも自分がどれくらいの負荷で走ることができるのかに基づいてスプロケットを選んでみてください。
きちんとスプロケットを考えて選ぶことでチェーンの寿命延命や、自分の筋力・持久力のレベルの目安にもなりますので、自転車に楽しく乗り続けるモチベーションにも繋がると思います。何より、愛着の湧いた自転車には長く乗りたいですし、いろいろパーツを変えて楽しみたくなりますよね。
スプロケットに限らず自転車のパーツには互換性がありますが、最近では各メーカー内のブランドで互換性のあるパーツが登場しているので、カスタマイズもしやすくなっています。
歯数はペダルの重さと出せる速度に関係する

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歯数はギア1枚についているチェーンが引っ掛かる歯の数のことです。ギア1枚1枚の歯数は異なっていて、歯数が多いとクランク1回転当たりの後輪の回転数が減って脚への負担が少なく(軽く)なりますが速度は出しづらく、歯数が少ないとクランク1回転当たりの後輪の回転数が増えて脚への負担が多く(重く)なりますが速度を出しやすくなります。
歯数はギア比に関わる部分なので、スプロケットを選ぶ際に重要視されます。製品仕様としては10s・11T-25Tのように表記されることもあり、11Tであれば歯数が11個、10sは10段であることを表して歯数の異なるギアが10枚付いていることを意味します。
一般的にはトップが13以下、ローは25T以上の物が多いです。トップが14T程度の物が脚力の弱いジュニア向けとして存在します。歯数の幅が広い方が、対応できる状況も広くなって良いと思われるかもしれませんが、実は単純にそうとは言えません。詳しくは次の歯数の構成で説明します。
歯数の構成は対応したいコースで考える

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同じ10sという変速段数でも、歯数の幅が異なると採用する歯数に違いが出てきます。例えば、10s・11T-25Tと10s・11T-28Tにスプロケットがあった場合、片方には16Tのギアがあり、もう片方にはないこともあります。ここでは、このことを歯数の構成の違いと呼ぶことにします。
前述したように確かに歯数の構成の幅が広ければ、ギアを重くしてスピードを出したり、急勾配の坂道でも走行しやすくなります。一方で、歯数のバリエーションが細かくない分、「この道なら本当は16Tがベストのスピード出せるけどギアがない…」と言ったように、平地や微妙な勾配の道に対してちょうど良いギア比を出しにくくなります。
15T・16T・17T・19Tのように歯数の変化の幅が狭い物をクロスレシオ、15T・17T・19Tのように歯数の変化の幅が広い物をワイドレシオと呼びます。急勾配の坂道を走る場合や使うギア比が明確に決まっている場合はワイドレシオの方が目的に合致する場合もありますが、平地がメインの場合やギア比を探っていきたい場合はクロスレシオが良いでしょう。
また、クロスレシオの方が変速の差異が小さいため、ギアチェンジの際の振動や脚への負担の変化が小さくなります。一方、ワイドレシオはギアチェンジの際の振動も大きくガチガチと言った感じがします。この辺は好みで選んでみてください。
変速段数でスプロケットを選ぶ

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変速段数はスプロケットのギアの枚数の事を指します。ギアの枚数が多いと、それだけギア比を細かく変えられる能力を持つことになります。
変速段数が増えるとギアの枚数が増える分、スプロケットの横の厚みが増します。スプロケットとフロントチェーンの間にチェーンを繋ぐわけですが、スプロケットの1番外側(内側)のギアにした場合、フロントチェーンに対して斜めにチェーンが掛かることになります。斜めになった分、摩擦が発生して力のロスや部品の消耗を起こしやすくなります。
変速段数の多さはギア比を細かく変えられるというメリットがある一方、フロントチェーンに対して正面にならない割合が多いというデメリットがあります。変速段数が少ない場合はこれと全く逆のことが言えるわけですが、一概にどちらが良いとは言えません。
レースを見据える人の場合は変速段数の多さを重視する場合もありますが、趣味で気持ちよく走りたいだけの人にとっては長持ちすることが重視する場合もあるでしょう。
フリーハブのサイズによって使えるスプロケットが決まる

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フリーハブとは後輪にスプロケット取り付ける為の部品です。スプロケットは変速段数が大きい程フリーハブに取り付ける部分も大きくなります。そのため、11段用のフリーハブに10段以下のスプロケットを取り付ける為には隙間を埋めるスペーサーが必要になります。スペーサーはホイールやスプロケットを購入した時に付属していることが多いです。
フリーハブで注意が必要な点は、○○段専用となっている場合、メーカーの異なるフリーハブとスプロケットには互換性がないことがある点です。最近はあまりないですが9段専用といったフリーハブの場合は、その名の通り9段のスプロケットしか使えません。
メーカーが異なる場合、例えば、シマノのフリーハブであればシマノのスプロケットは使えますが、カンパニョーロなどの他のメーカーのスプロケットは使用できない場合があります。販売店やメーカーに問い合わせ、スプロケットの互換性を確認しましょう。
ギア比・出したい速度でスプロケットを選ぶ

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ギア比はフロントチェーンとスプロケットの歯数の比率の事です。フロントチェーンの歯数が38でスプロケットの歯数が16であればギア比は38÷16で2となります。これはクランク1回転で後輪が2回転することを意味します。つまり、ギア比が大きければ力は必要になりますが、その分スピードを出すことができるということです。
速度の計算はインターネットで「自転車 ギア比 計算」と検索すればブラウザ上で計算を行ってくれるWebサイトが見つかります。速度を計算するにはケイデンスが必要になりますので、きちんと計算したい人は自分のケイデンスを計測しておくと良いです。
自転車の種類でスプロケットを選ぶ

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自転車の種類にはロードバイク・クロスバイク・マウンテンバイクがありますが、スプロケットには専用をうたっている物からどの種類でも対応できる物まであります。専用の場合はその自転車にしか使えない、もしくは他の種類だと不具合が出る物ですので、事前に確認しておきましょう。
素材や加工方法でスプロケットを選ぶ

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自転車のフレームなども扱いやすい軽いものが好まれるように、やはり部品も軽いものが好まれる傾向にあります。ところどころ穴を空けるなどをして軽量化したアルミを使っていたり、錆に強いコーティングが施してある商品もありますが、大体価格が高いものが多いです。
良い物が欲しい人はとことん追求するのが理想ですが、そこまで予算がない人は素材や加工というところよりも走りに直結する歯数に注目して選んでください。
スプロケットのおすすめ人気ランキング10選
ここからは、様々なECサイトの売れ筋を調査した結果に基づいて、オススメの商品をランキング形式で紹介していきます。調査した結果シマノ社製品ばかりが並びましたが、それだけ多くの人に支持されているということです。是非この中から気になる商品を見つけてくださいね。
第1位 シマノ ULTEGRA CS-R8000 11T-28T/11s

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変速段数:11
重量:251g
しっかりと走りたい人にちょうど良い価格・レシオ
シマノの高いグレードには手が出せないが、そこそこの性能の物を使いたいという人にぴったりのスプロケットです。レシオも広すぎず、それでいてローの歯数も多いです。105に比べて汚れが落ちやすくて掃除が楽という面もあるので、頻繁に自転車に乗る人にもオススメしたいスプロケットです。
第2位 シマノ ULTEGRA CS-R8000 11T-30T/11s

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変速段数:11
重量:269g
28Tだとほんの少し軽さが足りない人に
スプロケットの場合、歯数が多くなるほど歯数の差の影響は小さくなるものですが、それでも28Tと30Tの違いは結構あるものです。ロー側は30T-27T-24Tとなっているので坂道の微妙な勾配の変化に対応できるのも魅力です。
第3位 シマノ CS-HG51 11-32T/8s

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変速段数:8
ほぼ等間隔なワイドレシオ
歯数の幅が広いですが極端にトップ側によることもないワイドレシオのスプロケットです。もともとマウンテンバイク用に設計された物ですが、ロードでも使えますので、25Tや28Tで山を走るのはちょっと辛いという人は、峠用として持っておくのがいいでしょう。
第4位 シマノ ULTEGRA CS-R8000 11T-25T/11s

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変速段数:11
重量:232g
クロスレシオならではの滑らかな走り
11段でありながら11T-25Tのクロスレシオなので、ギアチェンジの負荷を感じにくいスプロケットです。シマノ社の105と比較すると小型でコンパクトな視覚的イメージを与えるので、すっきりとしたスポーティな見た目にしたい人にもオススメです。
第5位 シマノ 105 CS-R7000 11T-30T/11s

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変速段数:11
重量:284g
坂道での細かいギア比調節でケイデンスを維持
最大が28Tだとケイデンスが維持できないという人にオススメです。ワイドレシオなのでギアチェンジの負荷はそれなりにあると思いますが、山・峠の坂道を楽しみたい人の選択肢に入るスプロケットです。
第6位 シマノ ULTEGRA CS-R8000 14T-28T/11s

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変速段数:11
重量:300g
街乗り中心でヒルクライムしない人にオススメ
そこまで速度を出すつもりがない人やそもそもダウンヒルを走らない人の中には、11Tから13Tは使わない人も多いのではないでしょうか。トップギアの歯数が多い分、14Tから20Tまでは1刻みの歯数で構成されています。
平地乗りの人や成長途中の学生、また脚に自信がない人には特にオススメです。
第7位 シマノ ULTEGRA CS-R6700 12T-30T/10s

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変速段数:10
重量:267g
峠を走りたいけど年齢的に脚が辛くなってきた人にオススメ
ワイドレシオですが11Tが無い分、平地での細かいギア比の調節もしやすいです。坂道を走りたい人にとって非常にありがたい30T。坂道が辛くなってきたけどフロント側は変えたくない人にオススメです。
第8位 シマノ 105 CS-R7000 11T-28T/11s

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変速段数:11
重量:284g
高価過ぎないグレードで自転車趣味の人にオススメ
シマノの105シリーズは高すぎない価格の物が多いので、趣味レベルだけどグレードで部品を統一したい人にオススメです。11Tから28Tまで歯数があるので、普段から自転車に乗る機会の多い人や、脚に自信がある人であれば、坂道や平地でもしっかり速度を出していけると思います。
第9位 シマノ CS-HG50 12T-25T/8s

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変速段数:8
性能は控えめだけど街乗りなら十分
8段で、ローギアの歯数は多くないタイプです。人によっては坂道が辛いかもしれませんが、ギアチェンジが滑らかで街中で乗る分には十分な性能です。クロスレシオ気味ですのでフロント側が3弾でギア比を調節できる人に特にオススメです。
第10位 シマノ SLX CS-HG81 11T-36T/10s

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変速段数:10
36Tの歯数で坂道・悪路も楽々
10段で11Tから36Tまでをカバーしているため、平地での細かいギア比の調節は難しいですが、36Tという大きなギアで坂道や雪道・凸凹道などの悪路での走行を助けてくれます。悪路も行動範囲を広げたい人にオススメです。
おすすめの商品一覧
製品 | 最安値 | 評価 | リンク |
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![]() シマノ ULTEGRA CS-R8000 11T-28T/……
1
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6,469円 |
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![]() シマノ ULTEGRA CS-R8000 11T-30T/……
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7,140円 |
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![]() シマノ CS-HG51 11-32T/8s
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![]() シマノ ULTEGRA CS-R8000 11T-25T/……
4
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6,740円 |
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|
![]() シマノ 105 CS-R7000 11T-30T/11s
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![]() シマノ ULTEGRA CS-R8000 14T-28T/……
6
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7,140円 |
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|
![]() シマノ ULTEGRA CS-R6700 12T-30T/……
7
|
6,142円 |
4.3 |
|
![]() シマノ 105 CS-R7000 11T-28T/11s
8
|
4,166円 |
|
|
![]() シマノ CS-HG50 12T-25T/8s
9
|
2,242円 |
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|
![]() シマノ SLX CS-HG81 11T-36T/10s
10
|
4,168円 |
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スプロケットのメンテナンス・交換方法

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スプロケットを別のものに交換する時だけでなく、ギアとギアの隙間まで掃除してきれいにしたい場合は、スプロケットを外す必要があります。一般的なのは、スプロケットリムーバーという工具でギアを抑え、フリーホイールリムーバーという工具でスプロケットを固定している部品を外し、手で分解していく方法です。
フリーホイールリムーバーには持ち手が付いていて単体で取り外しが行えるものと、持ち手が無く別途モンキーレンチなどが必要な物があります。組み立ては仕様書(説明書)を見ながら行いましょう。
まとめ
スプロケットの交換は、自転車の愛好家にとってはひとつの楽しみでもあります。新しい部品にするときもそうですが、ひとつのグレードで統一してみたり、好みのデザインで組んでみたり、楽しみ方は色々あります。目的に合わせて歯数やギア比を比べ、自分にぴったりのスプロケットを見つけてくださいね。