騒音計とは、音を数値化する計測機器です。サウンドレベルメーターとも呼ばれ、音をマイクで拾うことで、騒音レベルを表す単位であるデシベル(db)として表示します。音という目に見えないものを客観的に評価できるため、騒音測定に必須です。
騒音計はどの製品にも大きな違いはないと思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、生活音や工場・工事現場の機械音など、騒音の種類によって音は異なります。対象となる騒音を正確に計測するには、その騒音に対応している製品を選ばなくてはなりません。
ここでは騒音計の使い方・選び方と、おすすめの人気商品をご紹介します。使用目的に適った製品を選んで、騒音をデータとして残せるようにしましょう。
騒音計の使い方と場所・距離の取り方

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騒音計は集音性に優れたマイクと、ディスプレイつきの本体から構成されています。基本的な使い方は、騒音計の電源を入れて測定開始ボタンを押すだけです。周囲の音をマイクが拾うことで、音圧を電気信号に変換し、何デシベルなのかがディスプレイに表示されます。
この計測時に注意したいのは、音は物体にぶつかると反響する性質があることです。壁や床に近いと反響音を拾ってしまうため、正確な測定ができません。測定場所は室内なら中央、屋外は壁や木から離れた場所を選びましょう。
手に持って測定する場合は、騒音計を胸元の高さに掲げ、なるべく身体から離しておきます。これは人間の身体も音を反響する効果があるためです。正確な測定には三脚へ固定設置するか、マイク延長ケーブルを使用して、反響物が周囲にない環境を作り出す必要があります。
スマホアプリとの精度の違い

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現代では多彩なスマホアプリが開発されており、インストールして使用する騒音計アプリも登場しました。中には無料や格安で利用できるアプリもあり、騒音計を購入する必要がないと感じるのではないでしょうか。
しかし、スマホアプリでの計測精度は騒音計に及びません。スマホは通話・音声認識のために指向性マイクを搭載しており、スマホ本体の向きによって計測値にバラつきが出てしまいます。生活音や機械音にあわせた測定方法の設定もできないため、正確な騒音レベルは測れないでしょう。
スマホアプリでできるのは、趣味の範囲での騒音測定です。騒音レベルを有効なデータとして残すのであれば、高精度の騒音計を使用してください。
騒音計の選び方
騒音計を選ぶポイントは、種類・周波数特性・機能の3点です。どのような騒音を測定したいのか、測定した騒音レベルをどのように使うのかで選びましょう。
種類から選ぶ
騒音計で大切なのは測定の精度です。ここではJISと計量法によって区分されている2種類と、その他のものとしてディスプレイ式をご紹介します。なお、計量法外の騒音計も存在しますが、それらで取ったデータは法律文書への根拠としては使用できません。
測定精度に優れたクラス1・精密騒音計

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計量法で精密騒音計と定義される機器は、20~12500ヘルツの周波数帯の中において測定が可能です。このタイプはJISでIEC61672-1 クラス1と呼称されます。
精密騒音計は音の測定精度がプラスマイナス0.7dB以内でなくてはなりません。非常に高精度のため、音量測定が必要な研究や音響機器類の評価・開発などに使用されます。価格は高く、一般的な騒音測定で使われることはあまりありません。
簡易的な測定に向いているクラス2・普通騒音計

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計量法で普通騒音計・JISではIEC61672-1 クラス2と呼称される機器は、20~8000ヘルツの周波数帯の中において測定が可能です。
音の測定精度はプラスマイナス1.5db以内であり、クラス1・精密騒音計に比べると受容限度が広がっています。
普通騒音計は室内・屋外に限らず、工場や事業所などの騒音を測定する用途で使用されます。計量法に適合しているため、検定から5年以内の機器であれば、官公庁へ提出する書類や法律文書にデータを記載することができます。
騒音レベル表示のためのディスプレイ式

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ディスプレイ式はセンサーで音を感知し、計測した数値を大きく表示できます。正確な測定よりも、室内に設置して騒音レベルを可視化・共有できるようにするための機器です。
主な使用場所は病院や劇場などの静粛性が求められる場所であり、設置することで喧噪の予防効果が見込めます。
設定した上限値を超えたら警告音を発する機能があれば、子供のしつけ用としても役立つでしょう。
周波数特性から選ぶ
騒音計には、周波数特性または周波数重みづけ特性という設定がされています。主にA特性・C特性の2種類があり、これは周波数によって音をどのように補正処理するか、という違いによるものです。
環境音の測定に向いているA特性

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A特性は低い周波数に対する騒音レベルが鈍いタイプです。20db以下ではほとんど感知せず、1000dbへ近づくにつれて反応が大きくなり、4000dbを超えるあたりから再び感度が低くなります。低い周波数を捉えにくい人間の耳と性質が近く、生活騒音の測定に向いたタイプです。
なお、騒音計のJIS規格であるC 1502-1990において、規格適合のためにはA特性を備えなければならない、と規定しています。JIS適合でない製品でも基本的にA特性を基準としているため、あえて探す必要はないでしょう。
衝撃音を計測できるC特性

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C特性は音圧をほぼそのまま計測するものです。感度は周波数に関わらずほぼフラットであり、低い周波数も感知しやすくなっています。モーターの駆動音や衝撃音などの音圧を正確に測定したい場合には、周波数での影響が少ないC特性を使用しましょう。
機能で選ぶ
近年販売されている騒音計には測定に便利な各種機能が付属しています。測定の幅を広げたい方には機能付きの製品がおすすめです。
暗所での計測を助けるバックライト点灯

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ディスプレイのバックライトが点灯することで暗い屋外でもスイッチ類の測定がしやすく、測定値も一目で分かるようになります。夜中や照明が暗い場所での測定で便利な機能です。
騒音は夜間にしか発生しないケースもあります。夜中に運行する電車や夜間操業の工場などでは、その時間に測定しなければ意味がありません。このような対象を測定するなら、バックライト点灯付きの製品がおすすめです。
対象に表示値を合わせられる測定レンジ切り替え機能

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騒音計の測定範囲はおおよそ30~130dbになっていることが多く、小音量から大音量まで捉えるために測定値の誤差が生じやすくなります。そのため、測定対象のデシベルを絞り込んで計測する場合、測定レンジ切り替え機能があるととても便利です。
時間重み付け特性を確認

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動特性は時間重みづけ特性ともいい、音から変換した電気信号を平均化するまでにかかる時間の区切りです。動特性はF(Fast)・S(Slow)の2種類があり、Fは0.125秒、Sは1秒で平均化を行います。
室内や道路などの環境音を測定するときには動特性Fを使いましょう。動特性Fは音発生時に大きな数値を示した後の減衰が早く、人間の聴覚に近い数値変動を示します。
一方で動特性Sは音の発生後に数値が緩やかに減衰します。電車の通過や飛行機の離着陸など、大きな音がしばらく続く場合に適した動特性です。
データ取りに便利な最大値ホールド

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音の波は発生した後に拡散・吸収されて消えてしまうため、一番大きな騒音レベルを調べるのは意外と難しいものです。最大値ホールドができる製品は、現在の騒音レベルのほかに最大値を保持してくれます。騒音データ採取をしたい時におすすめの機能です。
電池消耗を防ぐオートパワーオフ

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オートパワーオフは、電池駆動である騒音計にとって便利な機能です。電源の切り忘れがなくなり、電池を効率よく使えます。騒音計は1分以上表示しつづける使い方が多いので、オートパワーオフが適用される無操作時間は10分程度だとよいでしょう。
データを記録したい場合はアナログ出力端子・USBインターフェース機能付きを

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騒音レベルをデータとして残したい場合、外部出力できる騒音計を選びましょう。本体の側面に出力端子がついている製品は、対応ケーブルを接続することでパソコンなどにデータ転送が可能です。また、近年はSDカードで直接記録できる製品も発売されています。こういった機能は、いつ音がするかわからない近隣の騒音などを記録する場合にとても便利な機能です。
騒音計のおすすめ人気ランキング10選
騒音計の人気商品を10個ご紹介します。私的な利用であれば格安の製品がおすすめですが、正確な数値を取りたいのであればJIS規格などに適合している商品を選びましょう。
1位 Meterk 騒音計 騒音測定器 LCD デジタル 30-130dB(A)電池付属

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重量:209 g
測定範囲:30-130dBA
周波数特性:A特性
機能:自動/手動シャットダウン・バックライトディスプレイ
室内から屋外の騒音に対応
こちらの騒音計は、広い測定範囲(30〜130dB)が可能なため、室内から屋外の騒音測定が可能です。使用していないと10分後に自動的にシャットダウンするオートパワーオフ機能付きです。また、液晶バックライトディスプレイも付いているため、夜間時の使用に便利です。
2位 サンコー 小型デジタル騒音計 RAMA11O08

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重量:105g
測定範囲:30~130dBA
周波数特性:A特性
機能:バックライト点灯・最大値ホールド・オートパワーオフ
私的利用に適した騒音計
シンプルなボタン配置で簡単に操作できる騒音計です。手の平に収まるくらいの小型サイズで、手に持っての測定がしやすい作りとなっています。規格適合はしていませんが測定誤差はプラスマイナス1.5dbなので、ある程度正確な数値が期待できるでしょう。
3位 A leaf デジタル騒音計

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測定範囲:30~130dBA
周波数特性:A特性
機能:バックライト点灯・最大値ホールド・オートパワーオフ
暗所使用に便利な明るいバックライト
普段は現在の測定値を表示し、左側のボタンを押すことで最大値・最小値も表示できる商品です。大きなLCDディスプレイはバックライト付きで、暗闇でも明るく照らせます。
オートパワーオフの時間は10秒と非常に短いため、騒音を長く測定したいケースには適しません。サッと計測してメモを取る、という使い方をするとよいでしょう。
4位 URCERI 騒音計 温度計内蔵

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重量:73g
測定範囲:35~135dBA
周波数特性:A特性
機能:バックライト点灯・動特性切り替え・最大値ホールド・オートパワーオフ
温度表示も可能な多機能騒音計
比較的安価でありながら多機能であることが魅力的な製品です。データホールド・最大最小値表示はもちろん、動特性切り替えも付属しています。生活騒音や電車騒音など幅広い騒音の計測が可能です。
また、ディスプレイ上には騒音レベルの他に温度も表示されます。測定日のデータに温度も付記したいケースに適した騒音計です。
5位 KASUNTEST 騒音計

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重量:185g
測定範囲:30~130dBA
周波数特性:A特性・C特性
機能:バックライト点灯・動特性切り替え・最大値ホールド・オートパワーオフ・アナログ出力端子
4つの特性を切り替えられる
周波数特性A・Cと動特性F・Sの切り替えが可能な騒音計です。安価な騒音計でこの4特性を全て備えている製品はあまりないため、1台持っていると幅広い騒音の測定に重宝します。
側面にはAC・DC出力端子があり、パソコンへのデータ転送が可能です。騒音計の表示値をそのまま使えるため、データ作成が捗ります。
6位 トラスコ デジタル騒音計 TSL-1320

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重量:160g
測定範囲:40~130dBA
周波数特性:A特性・C特性
機能:測定レンジ切り替え・動特性切り替え・最大値ホールド・オートパワーオフ・アナログ出力端子
測定に役立つ機能が多い騒音計
こちらも周波数特性A・Cと動特性F・Sを切り替えられます。測定レンジはオート・マニュアルから選ぶことができ、一定レベル外の音を測定から除きたいときに便利です。測定を記録して、外部出力することもできます。
7位 カスタム デジタル騒音計 SL-1320

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重量:160g
測定範囲:A/C特性マニュアルレンジ 40~70dBA / A特性オートレンジ 40~130dBA / C特性オートレンジ 45~130dBA
周波数特性:A特性・C特性
機能:バックライト点灯・測定レンジ切り替え・動特性切り替え・最大値ホールド・オートパワーオフ・アナログ出力端子
一定時間測定し続けたいときに最適な製品
測定器の専門メーカー、カスタムの騒音計です。最大・最小値を記録できて、側面の出力端子からデータを送ることができます。外部測定精度はプラスマイナス2dbとやや甘めであり、精密な測定には向きません。
オートパワーオフ機能は無操作状態から20分経過後と余裕をもって設定されています。動特性をSに設定した状態で電車・飛行機などの騒音を計測したいときに便利です。
8位 シンワ測定 デジタル騒音計 78588

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重量:150g
測定範囲:30~130dBA
周波数特性:A特性・C特性
機能:測定レンジ切り替え・動特性切り替え・最大値ホールド
正確な数値が期待できるシンワ測定製
測量用品を多数展開するシンワ測定の製品で、持ちやすいグリップ形状と分かりやすいボタン配置が特徴です。測定精度はプラスマイナス1.5dbと信頼できる数値であり、私的利用であれば十分正確な計測ができます。
騒音計を安全に運ぶことができる専用ケース付属です。バックライト機能はないため明るい場所で使用しましょう。
9位 サンワサプライ 小型サウンドレベルメーター 400-TST901A

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重量:150g
測定範囲:40~130dBA
種類:IEC61672-1 クラス2
周波数特性:A特性
機能:バックライト点灯・最大値ホールド・オートパワーオフ
JIS規格に適合している騒音計
電子機器類を総合的に取り扱っているサンワサプライの製品です。この騒音計はJIS規格IEC61672-1 クラス2に適合しており、正確な測定ができます。ボタンが正面1つ、側面1つの計2つなので操作が簡単なのも魅力です。
10位 サンワサプライ デジタル騒音計 CHE-SD1

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重量:73g
測定範囲:35~135dBA
種類:IEC61672-1 クラス2
周波数特性:A特性
機能:バックライト点灯・動特性切り替え・最大値ホールド・オートパワーオフ
温度測定も可能となったJIS適合騒音計
IEC61672-1 クラス2適合の騒音計で、こちらは温度測定もできるようになっています。小型フォルムなので学校や事業所などはもちろん、屋外の測定にも便利です。オートパワーオフ機能も15分と余裕があるため、長めの測定にも重宝するでしょう。
おすすめの商品一覧
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まとめ
騒音計はマイクが拾った音をデシベルという単位で表示できます。商品の選び方では、種類・周波数特性・機能の3つがポイントです。
明確な使用目的があるなら、種類を重視しましょう。法律書類に記載するデータを取るのであれば精密騒音計または普通騒音計でなくてはなりません。私的利用ならJIS適合外・測量法外の製品でも大丈夫です。
周波数特性・機能についても使用目的に沿ったものを選んでください。騒音計を正しく選んで、音の管理をしっかりできるようにしましょう。