近年になるまでは一般の人には手の届きにくいイメージの強かった溶接機ですが、最近では家庭でも使用できる100Vの半自動溶接機も販売され、DIYで使用する方も増えてきました。
人気の「スズキッド」「YOTUKA」「JUBA」といったメーカーをはじめ、「ダイヘン」などのプロ用の溶接機を扱っているメーカーからも半自動溶接機が販売されています。今回は半自動溶接機の種類や選び方、ビギナーの方でもはじめられやすいおすすめの商品を紹介していきますので参考にしてみて下さい。
半自動溶接機とは

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半自動溶接機は、溶接機本体の中に収められたワイヤーがトーチの先から自動で配給されるため、溶接棒を手で持ちながら溶接する被覆アーク溶接(手溶接)に比べ溶接棒を交換する手間も省け、効率的に作業を行うことができます。
溶接方法としては、ガスを使用するガスシールドアーク溶接とガス不使用のノンガス溶接の2種類に分けられます。ノンガス半自動溶接機であれば、使用時にガスが排出されないため、屋内外で使用することが可能です。
半自動溶接機の選び方
ここからは実際に溶接機を選ぶ際、どのような点に注意して選べばよいのかを説明していきます。前述でも説明したガスを使用するガスシールドアーク溶接機でも、使用するガスの種類によって半自動溶接の名称や適している素材は変わります。
また、半自動溶接機は溶接するものの素材によって、溶接タイプやワイヤーを変えなければなりません。溶接したい素材と大きさや厚みから選ぶことをおすすめします。
ガスシールドアーク溶接機
ガスを使用するタイプで、金属を加熱する際にガスを使用。こちらのタイプは、吸い続けると肺に悪影響を及ぼすアーク溶接時に出る煙(ヒューム)やスパッタが比較的少ないというメリットがあります。使用するガスの種類により、名称も使用できる素材も異なりますので、それぞれ説明していきます。
炭酸ガスのCO2溶接

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炭酸ガスを使用するCO2溶接。主に鉄の溶接に使われます。炭酸ガスを使用しているため、非鉄金属(アルミニウムやステンレス)に使用することはできません。鉄をメインに溶接加工をする方には、こちらのタイプがおすすめです。
ただ、使用するガスが炭酸ガスのためガス代は安く済みますが、機械自体の価格が他のタイプよりかなり高くなりますので、プロ用の溶接機といえるでしょう。
混合ガスのMAG溶接

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アルゴンガス80%と炭酸ガス20%の混合ガスを使用するMAG溶接。主にステンレスや鉄などの溶接に使われます。2種類のガスの使用によりエネルギーがあるため、CO2溶接よりも美しい仕上がりになります。
こちらもCO2溶接と同じく、炭酸ガスを使用するため非鉄金属には使用できません。また、現状MAG溶接単体の溶接機は少なく、ほとんどの商品はMAG溶接とMIG溶接両方対応となっています。
アルゴンガスのMIG溶接

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アルゴンガスのみを使用するMIG溶接。こちらは炭酸ガスを使用しないため、アルミやステンレスなどの非鉄金属の溶接に適しており、仕上がりは他のタイプよりも美しく仕上げることができますが、技術力が必要とされます。
また、使用するガスが他のガスに比べ高価なためコストがかかります。半自動溶接機は、MIG溶接かノンガス溶接の商品の人気が高く、広く使われているようです。スキルを身に付けるまでにある程度の数をこなして腕を磨く必要はあるかもしれませんが、凡庸性もあるのでおすすめです。
ガスを使わないノンガス溶接機

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ガスシールドの代わりに、フラックスワイヤーを使用するノンガス溶接機。ガスを使用しないためガスの準備の手間もなく、屋内外問わず使用することが可能です。
ガスシールドアーク溶接は、ガスを噴出させ加熱するので風が吹く屋外には不向きでしたが、こちらはガスを使用していないため問題なく使用できます。
ただ、使用されるフラックスワイヤーは少し高価なうえに、ヒュームやスパッタがガスシールドアーク溶接に比べると多いなどのデメリットもあります。ヒューム対策として、使用の際は防じんマスクの着用も必要になったりと、作業する装備にもコストがかかります。
入力電圧から選ぶ

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溶接機の電圧は100Vと200Vの2タイプがありますが、高出力の200Vを選ぶことでより仕上がりの完成度に違いが出ると言われています。
また、メーカーによって規定は違ってきますが、概ね溶接したい金属の厚みによっても、2㎜厚程度の金属版の場合は100V、6㎜厚程度の金属版の場合は200Vがそれぞれ溶接できる金属の目安になります。
定格使用率とインバーター搭載を確認しておこう

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商品の概要を見ると「定格使用率・・・何%」と書いてあることがありますが、これは10分間に使用できる割合を示した数値になります。例えば「定格使用率・・・10%」の場合は、10分間に1分使用して残り9分を休ませる必要があるということになります。
インバーター制御を搭載している溶接機では、2倍の使用率があり連続的に作業しても負けないタフさに加え、重量も半分程と軽量です。また、溶接の仕上がりもスパッタが少なく済みます。より高性能なインバーター制御を搭載した製品は、その分コストも高くなり、数十万円するような高額商品もあります。
半自動溶接機のおすすめ人気ランキング10選
ここからは半自動溶接機のおすすめ商品を紹介していきましょう。今回は、溶接をはじめるビギナーの方でもハードルの低い安価な商品を中心に選びました。
1位 スズキッド アーキュリー80LUNAII(ワイヤ付)キット SAY-80L2A1 100V

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サイズ:W211×L330×H235mm
重量:11kg
電圧:100V
定格使用率:20%
ワイヤー径:0.8mm
対応ガス:ノンガス
軟鋼・ステンレス素材を溶接するに時におすすめ
割と平均的な重量と価格で、平べったく少し小さめサイズの商品です。手持ち遮光面やワイヤーブラシ、変換アダプターやノンガスワイヤーなどの装備が一通り付属しているので、届いてそのまま使えるので、初めて溶接機を購入される方に特におすすめです。
2位 Duty Japan® ノンガス半自動溶接アークMIG単相100V

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サイズ:340×175×300mm
重量:17kg
電圧:100V
定格出力:3.6KVA
定格使用率:15%
ワイヤー径:0.9mm
対応ガス:ノンガス
電流4段階調整&ワイヤースピード調整機能搭載
ノンガス溶接タイプの商品としては、2万円以下と価格が低く、お手頃な商品としておすすめなのがこちらです。溶接したい対象物に合わせて電流を4段階に調整でき、それに合わせてワイヤーを出すスピードも10段階で調整することができます。性能的にも初心者の方が初めて扱うのに充分な機能と性能が備わっています。
3位 TOSENSE 半自動溶接機 交流アーク溶接機 単相100v MIG130

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電圧:100V
対応ガス:MIG
低コストな交流アーク溶接機
上記の商品と並ぶ低コストで初心者でも手の届きやすい価格のおすすめ商品です。4段階電流調整機能とワイヤースピード調整機能など同じ機能も搭載していて、長時間使用によるトランス内部の焼損を防いでくれる使用率オーバー防止機能も搭載しています。
4位 YOTUKA 半自動溶接機 MIG100 レッド 100V

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サイズ:L343×W180×H262mm
重量:5.5kg
電圧:100V
定格出力:31A
定格使用率:60A/100%、80A/60%、100A/40%
ワイヤー径:0.8mm
対応ガス:ノンガス
インバーター搭載100%使用率で低コストなノンガス半自動溶接機
値段の割にはインバーター搭載で100%の使用率と、融着なくスムーズに作業ができるノンガスタイプの溶接機としておすすめの商品です。電流調整を60A・80A・100Aと出力を変えることで、定格使用率を100%~40%と作業によって使い分けが可能です。重量は5.5㎏とかなり軽めなので持ち運びも可能な商品です。
5位 JUBA ノンガス・ガス溶接対応半自動溶接機 単相200V [MIG160-S]
![JUBA ノンガス・ガス溶接対応半自動溶接機 単相200V [MIG160-S]](https://enyranking.xsrv.jp/wp-content/uploads/2024/09/3-7-7.png)
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サイズ:幅202×奥行430×290
重量:約10kg
電圧:単相AC200V
定格出力:40~160A
定格使用率:(160A)35%/120A 60%
ワイヤー径:φ0.8~φ1.0
対応ガス:ノンガス・MIG
MAG・MIG兼用のノンガス・ガス溶接両対応タイプ
こちらの商品は、ノンガスでもガス溶接でも対応できるMAG・MIGの兼用タイプです。電力は単相200Vの出力で、繋ぎ目の仕上がり完成度が高くなります。状況に合わせて、半自動溶接以外にアーク溶接も使用可能。重量も10㎏と溶接機としては比較的軽量なところもおすすめです。
6位 半自動溶接機 MIG130 単相200V ロングトーチケーブル仕様

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重量:19kg
電圧:単相AC200V
定格出力:50~120A
定格使用率:120A/10%・60A/35%
ワイヤー径:0.6/0.8/0.9mm
対応ガス:MIG
ノーブランドならではのお手頃価格&200V出力
溶接初心者の方であれば、コストパフォーマンスに優れたノーブランド商品の半自動溶接機もおすすめ。200Vの出力電流でありながら2万円を切る低価格で、ビギナーの方にもハードルが低い商品ではないでしょうか。
ワイヤー径も、0.6㎜・0.8㎜・0.9㎜の3種類に対応しています。
7位 大阪 堺の工具屋さん インバーター 半自動溶接機 家庭用 100v

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サイズ:385×155×290
重量:7㎏
電圧:56v
定格出力:40
定格使用率:35-60%
ワイヤー径:0.6-0.8mm
対応ガス:MIG
溶接用の装備が付属した初心者におすすめの商品
付属品にノンガス軟鋼用フラックスワイヤーと溶接面やワイヤーブラシなどが揃っているので、溶接をはじめよう思っているビギナーの方でも届いてすぐに作業ができるセット商品です。
溶接系Youtuberのマッハkazukoさんに紹介された溶接機でもあり、口コミでも高評価の商品です。
8位 スズキッド インバータ半自動溶接機 アイノーヴァ140 SIV-140 200V

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サイズ:W240×L460×H360mm
重量:11kg
電圧:200V
定格出力:DC140A
定格使用率:20%
ワイヤー径:0.6、0.8、0.9、1、1.2mm
対応ガス:ノンガス・ガス両用
溶接上級者におすすめな機能が充実した商品
ある程度スキルのある溶接上級者の方には、こちらの機能が充実した半自動溶接機をおすすめします。200V電量出力はもちろん、インバーター搭載なことやノンガス・ガス溶接両用、電流調整ダイヤル付きで持ち運びに便利な台車が付いています。
これだけ機能が充実しているのに、比較的サイズが小さく11㎏と軽量です。その分コストは若干高いので玄人の溶接用に選んでほしい商品です。
9位 リョービ 半自動溶接機 SAW-120 100V

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サイズ:幅415×奥行き 385×高さ440mm
重量:20kg
電圧:100V
定格出力:30A
定格使用率:10%
対応ガス:ノンガス・MIG/MAG兼用
お馴染みの電動工具メーカーで選びたい方におすすめ
電動工具でお馴染みの国産メーカー「リョービ」の本格派の溶接機として上級者におすすめの商品です。ノンガス・ガス溶接両用で、使用率オーバー防止機能や高出力トルクのワイヤーフィードモーターなども搭載されています。電量出力は100Vなので少しスペックは劣りますが、その分コストも割安です。
10位 アストロプロダクツ 05-02212 半自動溶接機 MIG100 100V

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サイズ:370×215×395mm
重量:14.5 kg
電圧:100V
定格出力:28A
定格使用率:10〜20%
ワイヤー径:0.8Φ
対応ガス:ノンガス
6ヶ月保証対象品で安心のノンガスタイプ!
練習用ワイヤー、溶接面などが付属された入門用として最適な商品です。購入後すぐに使用でき、簡単操作で手軽に溶接が可能。別売りのステンレスワイヤーを使用すれば、ステンレスも溶接できます。
おすすめの商品一覧
製品 | 最安値 | 評価 | リンク |
---|---|---|---|
![]() スズキッド アーキュリー80LUNAII ……
1
|
40,989円 |
3.9 |
|
![]() Duty Japan® ノンガス半自動溶接ア……
2
|
18,980円 |
2.7 |
|
![]() TOSENSE 半自動溶接機 交流アーク……
3
|
16,600円 |
3.4 |
|
![]() YOTUKA 半自動溶接機 MIG100
4
|
33,800円 |
|
|
![]() JUBA ノンガス・ガス溶接対応半自……
5
|
34,980円 |
|
|
![]() 半自動溶接機 MIG130
6
|
18,830円 |
|
|
![]() 大阪 堺の工具屋さん インバーター……
7
|
29,800円 |
|
|
![]() スズキッド アイノーヴァ140 SIV-140
8
|
119,880円 |
|
|
![]() リョービ 半自動溶接機 SAW-120
9
|
74,480円 |
|
|
![]() アストロプロダクツ 半自動溶接機……
10
|
48,000円 |
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溶接に必要な道具を揃えよう

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溶接は金属を溶かしてくっ付ける作業のため、火花やスタッパと呼ばれる溶けた金属片が飛び散り危険です。服装は、肌が露出しないような長袖・長ズボンを着用し、安全靴・皮手袋とエプロンを装着しましょう。より安全に配慮したい方は、腕や足を保護する牛革を使った専用のカバーも販売しているので、必要に応じて準備しておくことをおすすめします。
商品によっては付属している物もありますが、顔を守る遮光溶接面や溶接用ワイヤーなども別途で用意する必要があります。
まとめ
今回は初心者の方でもはじめやすい半自動溶接機についてご紹介してきました。一般の人がDIYで行うには少しハードルの高い作業のように思えますが、ご家庭でも使いやすい半自動溶接機もあり、この記事を読む前よりも溶接に対するハードルは下がったのではないでしょうか。
怪我をしないためにも、ご自身で溶接をはじめる前に下準備として必要な知識を習得し、技術を学んでから行うことをおすすめします。また、ガスを使用しないアーク溶接機も別途ご紹介しているので参考にしてみてくださいね。