鉈とは、薪割・竹割・枝打ちのために使われる片手用の刃物です。近年では趣味の工芸・アウトドアキャンプなどで幅広く使用されています。持ち手が太く、下側へゆるい弧を描くように付けられているため、力を入れる作業をしても抜けません。
ここでは鉈の種類と刃の形状・素材から選び方をご紹介します。鉈の人気メーカーである、創るよろこび工房や五十嵐刃物の鉈の商品をはじめとし、使い方や研ぎ方なども解説します。作業が行いやすいものを選んでくださいね。
鉈の使い方
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薪割りでは、台に立てて置いた薪の頭に鉈を当てて、別の太い薪で背の方から叩いていきます。刃が入ると木目に沿って薪が割れていくので、更に叩いて刃を入れていきましょう。半ばほどまで刃が入ると2つにいきなり割れることもあるため、叩く力を加減してください。
よりスマートな割り方もご紹介します。まず、薪の木目に沿って鉈の刃をくい込ませましょう。くい込んだら薪ごと鉈を持ち上げて、台へと軽く打ち下ろします。3~4回も繰り返せば簡単に薪が割れるはずです。
竹割りのときには、端の方から刃を入れて割っていきます。刃先を入れた箇所から繊維に沿って割れていくので、薪割りのように力を込める必要はありません。不均等に割っていくのは難しく、ちょうど半分に割っていった方が簡単です。
なお、鉈を持つ手に軍手や手袋をすると、力を入れたときに滑りやすく危険です。持ち手は素手で、反対の手に軍手をしましょう。足もサンダルのような皮膚が出ているものではなく、安全性の高いスニーカーなどを履いてください。
鉈の選び方
鉈を選ぶポイントは、鉈の種類と刃の長さ・形状・素材です。刃がどのように出来ているのかによって、向いている使い道と管理方法が変わります。
種類から選ぶ
鉈は地域によって形状差があるものの、大きく分けて腰鉈・剣鉈・海老鉈の3種類があります。薪割なら腰鉈・海老鉈、竹割は腰鉈がおすすめです。
一般的な鉈に近い腰鉈
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腰鉈は長方形に近い刃を持っているタイプです。前へと大きく突き出した刃は内反りになっていて、柄とあわせて緩いアーチを描きます。鉈と聞いたとき、一般的に思い浮かべるイメージはこの形状ではないでしょうか。
腰鉈と近い種類には刃が真っ直ぐに近い竹割鉈や、刃の短い関東鉈と呼ばれるものもあります。形状の差はあっても使い方に大きな違いはなく、薪割・竹割に使いやすいのが特徴です。
狩猟用に使われる剣鉈
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剣鉈の刃は大型ナイフ・包丁のような形状です。刃の反りについても外反りで、切断力の高い作りです。柄と刃の境目には指を守るためのツバが設けられています。
このような形状になっている理由は、狩猟用の解体ナイフを兼ねているためです。獲物の解体や、釣った魚をさばく目的で使用されます。アウトドアに用いるなら枝打ち・ロープ切断に使えますが、薪割・竹割には適しません。
独特な形状を持つ海老鉈
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海老鉈の刃は腰鉈と似ているものの、先端にコブまたは石と呼ばれる突起があることが特徴です。この突起は硬い地面の上で薪割をするとき、強く打ちすぎて刃を傷めないように付いています。薪割台を確保できないケースで重宝する形状です。
似たような刃を持っているものに、ひつ鉈と呼ばれるものも存在します。こちらは長い柄の先に、内反りに作った海老鉈の刃を横づけしたような形状です。柄が長いため、高所の枝打ちがやりやすく、森林の整備作業に適しています。
刃の付き方から選ぶ
鉈の刃には両刃・片刃の2種類があります。枝打ち・雑草刈りのために切れ味がほしいなら片刃、薪割・竹割用なら両刃がおすすめです。
薪割・竹割など割る作業に適している両刃
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刃部を上から見たときに、ちょうど真ん中に刃がついている形状が両刃です。両刃で物を切ると、くい入るように進んでいく刃の両側から、素材が2つに切れていきます。切断時の力が左右に分散されるため、割るときに刃身への負担が軽減されます。
このような理由から、薪割・竹割用の鉈は両刃がおすすめです。とくに薪・竹を何度も小割りしていくのであれば、刃の耐久性が高い両刃を選びましょう。
枝打ちに向いた切れ味のよい片刃
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片刃は、刃の片面からもう一つの面へ、刃先を斜めに尖らせている形状です。和包丁でよく採用されているように切れ味がよく、切断面が美しくなります。枝打ちや下草払いに使うなら、片刃がおすすめです。
刃の耐久性は低いため、薪割・竹割といった力を使う用途に用いるとすぐに刃が傷んでしまいます。硬い木材はなるべく避けて、使用後は手入れを行いましょう。なお、片刃は基本的に右利き用に作られており、左利きの方は左利き専用のものが必要です。
刃渡りから選ぶ
鉈は小さいもので130mm程度から、長いものでは200mmを超える製品まで存在します。長さは使い勝手を左右するポイントなので、用途にあわせて選びましょう。
130mm程度のミニサイズ
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130mmまでのミニサイズの刃は、小範囲の雑草刈り・枝打ちや魚をさばくといった用途に便利です。竹を小割りにしていくときにも、刃は小さい方が安全でしょう。重量も軽いため、キャンプ・登山などにも携帯できます。
150~180mmの標準サイズ
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薪割・竹割をするのであれば、150~180mmの刃は欲しいところです。比較的太めの薪にも刃を通せるため、1本あるだけでキャンプの薪確保が楽になります。広範囲の雑草取りでも長めの刃は重宝するでしょう。
200mmを超えるビッグサイズ
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200mm以上の刃を持つ鉈は、大木の枝打ちに最適です。ただし、長い刃は重量がかさみ、片手では扱いも難しくなります。アウトドアや林整備に持ち歩く用途には向かず、切り出した木材を加工するなどに使うことになるでしょう。
刃の素材から選ぶ
鉈の刃は鋼で作られていますが、その素材にはステンレス鋼・炭素鋼の2種類が見られます。鋼の違いにより刃の耐久性・手入れの必要性が異なる点に注意してください。
錆に強いステンレス鋼
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ステンレス鋼は、鉄にクロムやニッケルを含めて作られた合金です。十分な強度を持ち、工具・刃物用の金属として広く採用されています。表面が酸化被膜で覆われているため、錆にも強いのが特徴です。
硬いとはいえ、しばらく使っていると刃が潰れてしまいます。ステンレス鋼は切れ味が落ちやすく、ある程度使ったあとには研磨が必要です。
耐久性・切れ味に優れた炭素鋼
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鉄に炭素を多く加えた合金が炭素鋼です。焼き入れによってステンレス鋼よりも硬度が高くなり、高い切れ味を長く保てます。鉈に使用される素材としては日立金属の青紙や白紙が有名です。
ただし、硬度が高いと金属の粘りがなくなるため、衝撃を受けたときに刃先が欠けやすくなります。水気があると錆びやすいのも欠点であり、しばらく使わないときには錆止めのために油を塗らなくてはいけません。
鉈のおすすめ人気ランキング10選
鉈は1000円台から1万円を超えるものまで、製品によって大きな価格差が見られます。高い製品はそれだけ良質な素材と手間をかけているため、価格を選ぶ基準にしてみるのもよいでしょう。
1位 冒険倶楽部 なたとのこ 小 NS-180

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重量:鉈 380g / 鋸 90g
種類:腰鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:-
木材加工にかかせない刃物2種のセット
片手で扱えるサイズの鉈・鋸のセットで、鉈は両刃なので薪割・竹割に使えます。手鋸は柄が曲げられており、引きやすい形状です。ベルト通し付きの収納ケースが付属するため、アウトドア用の鉈・鋸が欲しい方におすすめです。
2位 千吉 園芸用 腰鉈 165mm SGKN-6

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重量:420g
種類:腰鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:-
薪割用の鉈が欲しい方におすすめ
工具類を幅広く取り扱っている藤原産業の製品です。1枚の鋼板から作られた本鍛造鉈であり、耐久性の高さが魅力となっています。薪割をしていても刃が欠けにくく、長く使えるでしょう。
3位 国華園 生け花用鉈

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重量:534g
種類:腰鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:-
片手でも扱いやすい軽量さが魅力
花苗の販売を手掛ける国華園が販売している鉈です。刃渡りの長さに対して重さはさほどでもないため、灌木の枝打ちや伐採した枝の小割りに使うとよいでしょう。
4位 千吉金賞 小型石付きエビ鉈 全鋼

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重量:360g
種類:海老鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:-
コブつきのため地面を選ばず使用できる
先端のコブが大きく出っ張り、刃を守ってくれています。地面に当たっても刃が傷まないため、キャンプの薪割り用に持っていくと重宝するでしょう。
5位 近与 安全鉈 大 150mm

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重量:-
種類:腰鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:-
打ち込み防止ガードが刃を守ってくれる
刃部の頭とアゴに切刃がなく、打ち込み防止ガードとなっている製品です。薪割のときにしっかり打ち込んでしまっても、ガード部が先に当たるため刃こぼれを起こしません。鉈の扱いに慣れていない方におすすめです。
6位 千吉 鞘入腰鉈 双刃 180mm

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重量:680g
種類:腰鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:-
鋼付によって作られた高品質な製品
刃が大きく、ちょっと太めの薪材を割るときに便利な鉈です。刃は二枚の鋼を使用した鋼付によって作られています。高い切れ味と研ぎやすい性質があるため、メンテナンスが簡単です。
7位 五十嵐刃物 鋼典 鍔付最高級鉈 165mm C-20

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重量:740g
種類:腰鉈
刃のタイプ:片刃
刃部素材:炭素鋼
切れ味のよい刃をもつ枝打ち用鉈
刃物の街である新潟県三条市に本社を構える五十嵐刃物製の鉈です。刃は炭素鋼と極軟鋼を組み合わせた鋼付で作られており、鍛造された本格的な刃物となっています。片刃なので薪割・竹割ではなく、枝打ちに使ったほうがよいでしょう。
8位 創るよろこび工房 切れるよろこび 片刃鉈 180mm

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重量:620g
刃のタイプ:片刃
刃部素材:炭素鋼
高品質炭素鋼を使用したプロ志向の製品
優れた鍛造技術を持っている創るよろこび工房が製作した鉈です。刃には日立金属の開発した安来鋼である青紙2号を使用し、高い切れ味を持っています。製品名通りの切れるよろこびを感じられる鉈です。
9位 本場土佐 火造り鉈 極上 青紙鋼

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重量:290g
種類:竹割鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:炭素鋼
竹割・薪割を効率よくこなせる高い切れ味
軟鉄の間に青紙鋼をはさみ、鍛造火造りによって作られました。軽く真っ直ぐな刃は竹の二つ割に適しています。キャンプなどのアウトドアや別荘地の整備などに重宝する製品です。
10位 東周作 黒打腰鉈 白紙鋼 オイルステン仕上

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重量:770g
種類:腰鉈
刃のタイプ:両刃
刃部素材:炭素鋼
本格鍛造された逸品の鉈
日立金属の白紙鋼を使用し、極軟鉄とわかし付けした鍛造品の鉈です。210mmもある刃身の黒色は火造りによる焼き肌であり、本格的な刃物の美しさを見せてくれます。水平に持ったときに刃先が下へ向くため、打ち下ろしの勢いが活かしやすい作りです。
おすすめの商品一覧
製品 | 最安値 | 評価 | リンク |
---|---|---|---|
![]() 冒険倶楽部 なたとのこ 小 NS-180
1
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1,925円 |
4.18 |
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![]() 千吉 園芸用 腰鉈 165mm SGKN-6
2
|
2,717円 |
4.4 |
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![]() 国華園 生け花用鉈
3
|
2,360円 |
|
|
![]() 千吉金賞 小型石付きエビ鉈 全鋼
4
|
1,600円 |
4.08 |
|
![]() 近与 安全鉈 大 150mm
5
|
3,122円 |
3.8 |
|
![]() 千吉 鞘入腰鉈 双刃 180mm
6
|
4,470円 |
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|
![]() 五十嵐刃物 鋼典 鍔付最高級鉈 165……
7
|
5,899円 |
|
|
![]() 創るよろこび工房 切れるよろこび ……
8
|
10,080円 |
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|
![]() 鉈 ナタ 火造り鉈 極上 青紙鋼 竹……
9
|
4,600円 |
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|
![]() 東周作 黒打腰鉈 白紙鋼 オイルス……
10
|
10,800円 |
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手入れに欠かせない鉈の研ぎ方
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研ぐ前に、砥石を水に10~20分ほど浸けてください。砥石を平滑な台上に置いたら、砥石に対して刃を15度くらいに起こして研いでいきます。砥石に刃を寝かせるように研ぐと切れ味がよくなりますが、薄くなるため耐久性は下がってしまいます。
研ぐときのコツは、押すときは力を入れ引くときに力を抜き、一定の方向に前後させることです。両刃であれば表裏を同じ回数、片刃であれば表20回に対し裏3回の割合にしましょう。研いだあと刃先に研磨カスのカエリがついています。最後に仕上げ砥石で刃を45度に起こし軽く研ぎ、カエリを取れば研ぎは終了です。
なお、鉈をグラインダーで研磨するのは避けましょう。多くの鉈は硬度を上げる焼き入れ処理が施されています。この焼き入れされた刃をグラインダーで研磨すると、摩擦熱で焼き戻しという現象が起こり、硬度が下がってしまいます。
まとめ
鉈はキャンプの薪割・竹細工用の竹割・木の枝打ちと、さまざまな用途に使われています。鉈の選び方のポイントは、目的にあわせて種類と刃を選択していくことです。
キャンプの薪割であれば、刃渡り150~180mmの両刃腰鉈か海老鉈がおすすめです。竹割では、二つ割なら刃渡りが長め、小割りにするなら短めの竹割鉈を選びましょう。片刃の鉈は枝打ち・雑草刈りに向いています。
刃を見てみると、高価で切れ味のよい鉈は青紙・白紙といった炭素鋼を採用しています。迷った場合には刃の素材から選ぶのもよいでしょう。納得できる製品を見つけたなら、手入れのための研ぎ方も覚えて使い込んでみてください。