3本の電線(三相)がきちんと順番に並んでいるか、脱線が起きていないかを確認できる検相器。難しいと思われがちな検相作業も、非接触タイプの検相器やペンタイプの検相器を用いることで簡単に行えます。
価格は1万円未満の製品から数万円するものまで様々。特に、「HIOKI」や「KYORITU」のメーカーの製品が売り上げも多く人気があります。今回は、検相器の原理や選び方、おすすめの商品を紹介していきます。
検相器の原理
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電気を帯びていない「導体」に電気を帯びている「帯電体」を近づけると、お互いを引き寄せ合います。この現象を「静電誘導」といいます。
一般的な非接触式の検相器は、静電誘導を利用して電圧を検出します。具体的には、電気回路や電圧クリップ・検相器が接触すると、それぞれが静電誘導を起こし電流が流れる経路が形成されます。すると、電流が流れ始めます。
電流は検相器の内部にも流れ、検相器内部の抵抗器により電圧が降下します。そして、電線と接地点との間の電圧が波形として現れます。
このような原理で、検相器は三相それぞれの電圧の波形を取得して、三相が順番通り並んでいるか、また脱線を起こしていないかを検出します。
検相器の使い方
検相器には電圧クリップを活線に挟んで検相するオーソドックスなタイプと、センサー部分を三相に順番に接触させて検相するペンタイプの2種類があります。次の項目でそれぞれの使い方を解説します。
電圧クリップタイプの使い方
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検相器には電圧クリップが3本ついているので、三相それぞれの活線を挟みましょう。検相器の動作に問題がなければ、「線間電圧ランプ」が点灯します。
次に、単線それぞれに電気が流れているかをチェックします。3本の電圧クリップR(赤)S(白)T(青)をそれぞれ使用します。R(赤)が正常の場合はR-Sランプが点灯します。S(白)が正常の場合はR-SランプとS-Tランプが点灯します。そして、T(青)が正常の場合はS-Tランプが点灯します。
では、検相しましょう。検相器の3本の電圧クリップを、三相の電線にそれぞれ挟みます。非接触タイプの検相器を使う場合、クリップは電線の被覆の上から挟みます。
三相の電線がそれぞれ問題ない場合は、線間電圧ランプのR-SおよびS-Tが点灯します。そして、三相の接続相順が正相の場合は、相順ランプが時計回りに点滅して知らせてくれます。
もしも逆相の場合は、相順ランプが反時計回りに点滅し、ブザーの連続音で通知されます。
ペンタイプの使い方
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ペンタイプの検相器は、ファンクションボタンによって検相モードと検電モードが切り替えられます。検相する際は、検相モードに切り替えましょう。
ペン先を電線の被覆の上から、赤・白・青の順番に接触させます。問題ない場合は、センサー部分のLEDライトが点灯します。もしも断線を検知した場合は、LEDライトが点灯しません。
一相ずつペン先を当てていき、三相目が検相できたら、検相結果がセンサー部分に示されます。検相器の種類によっても多少異なりますが、例えば順相の場合は緑色に点灯、逆相の場合は赤色に点灯します。
正確な検相結果を得るため、2回目は逆の順番にペン先を接触させていきます。そして、2回目は「逆相」という結果が出れば正常ということです。
検相器の選び方
検相器は、クリップの挟み方によって「接触タイプ」と「非接触タイプ」に分けられます。また、クリップタイプとペンタイプの2種類があります。それぞれの特徴と共に選び方を解説します。
接触タイプか非接触タイプで選ぶ
検相器には電圧クリップを活線に直接挟む「接触タイプ」と、被覆の上から活線を挟む「非接触タイプ」の2種類があります。
接触タイプの検相器
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昔からあるオーソドックスな検相器は、活線を直接クリップで挟んで検相するタイプです。赤・白・青の3本のクリップで、それぞれの活線を挟みます。三相が正しい順序でつながれているとランプが時計回りに点滅して知らせてくれるという仕組みです。
価格も1万円以下の製品が多く、作業員の数に合わせて複数台の購入も可能です。また、軽量なので手軽に持ち運べるメリットがあります。
非接触タイプの検相器
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一方で非接触タイプの検相器は、被覆線の上からクリップで挟めるので、導電部に接触しません。そのため、上記の接触タイプの検相器よりも安全に取り扱えます。価格はやや高めですが、価格の他にも安全性や手間も考慮して選びましょう。
携帯性で選ぶ
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記事冒頭の「使い方」で説明したように、検相器には1本のペンのようなセンサーで検相を行うペン型の製品があり、その多くは非接触タイプになります。
ペンタイプのメリットは、小型で持ち運びしやすいうえに、ペン先がプラスチックでできている製品も多く、金属製の検相器のように傷つくこともないので長く使えます。比較的低価格で手に入るのも魅力的です。
ただし、ペン1本で検相するため、慣れるまではエラーが出て検相作業が難しい場合もあります。使い慣れるまでは説明書を見ながら作業すると間違いないでしょう。また、より正確さを求める場合はクリップタイプのほうが安心です。
検相器のおすすめ人気ランキング8選
それでは、おすすめの検相器を紹介します。接触タイプ、非接触タイプ、ペンタイプをそれぞれ紹介しますので、商品選びの参考になさってください。
1位 共立電気計器 (KYORITSU) 8035 非接触検相器

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重量:380.0g
付属品:携帯ケース、単三アルカリ乾電池LR6×4個、取扱説明書
クリップで活線を挟むだけの簡単操作が魅力
信頼できる共立電気計器の検相器です。非接触タイプなので、感電のリスクも少なく安全に作業ができます。
相順・欠相はLEDランプとブザーでお知らせ。また、検相器本体にマグネットが取り付けられているので、配電盤の中に設置可能です。
LEDのライトが明るいため、日中でも検相結果が見えやすいのも特徴です。クリップをケーブルに挟むだけで検相できる手軽さから人気のある検相器です。
2位 カスタム (CUSTOM) ペン型検相・検電器 VP-01U

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重量:40g
付属品:取扱説明書
細いペン先で混みあった配線中も容易に測定
重量なんと40gの超軽量の検相器です。非接触タイプで被覆の上から使用できるので安全に検相できます。
三相三線の他、三相四線での相順もテスト可能です。ペンタイプのメリットは、ペン先が細いので混みあった配線の中でも測定しやすい点。
クリップタイプの検相器のように準備や片付けが必要ないのも魅力的です。測定結果はLEDライトとビープ音で確認できるので直感的に分かりやすいでしょう。
3位 Sampo 三相用 検相器 SM852B

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重量:記載なし
付属品:ケース、取扱説明書
最低限の機能が備わったシンプルな検相器
必要最小限の機能が備わっているシンプルな検相器です。多機能を求めない人にとって使いやすい設計になっています。
付属している布製のケースに収納するとコンパクトになり、持ち運びも簡単です。ただし、取り外せる先端部分をなくさないように注意も必要。
価格も3,000円以下でリーズナブルなので、1台持っていると役に立つでしょう。シンプルな検相器が欲しい人におすすめの製品です。
4位 HIOKI (日置電機) 検相器 スリムタイプ PD3129

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重量:200g
付属品:携帯用ケース、ストラップ、スパイラルチューブ、取扱説明書、単3形マンガン乾電池
LEDと音で検相結果を知らせる検相器
電線の被覆の上をクリップで挟むだけで検相できる簡単な設計の検相器。それぞれの相が問題ない場合は、LEDランプが点灯して知らせてくれます。
また、三相の相順もLEDランプの回転表示で明確に分かります。正相時は断続音、逆相時は連続音で視覚的にも分かりやすくなっています。
検相器本体には磁石が付いているので、配電盤に固定して使えます。この検相器は、本体の他に収納ケース、ストラップ、取扱説明書などが付属されているので、持ち運びも便利です。
5位 共立電気計器 (KYORITSU) 8033 検相器

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重量:200.0g
付属品:専用ケース、取扱説明書
ワニ口クリップとプローブが付け替え可能で便利
相順や欠相の状態をLEDランプとブザーでチェックできる検相器です。検相器本体部分にマグネットが取り付けられているので、配電盤への固定もできます。
値段は1万円以下と手ごろながら、ワニ口クリップとプローブが付け替えられるので大変便利です。吸盤も付いているので、一人でも楽に使用できます。
連続使用時間は、200Vで60分以内、480Vで4分以内です。また、LEDライトが明るいため、日中に使用してもランプの明暗が分かりやすいのも特徴です。
6位 UNI-T 三相交流用非接触式検相器 検相テスター UT262A

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重量:180g
付属品:ユーザーマニュアル
自動的にオフになる安全設計が嬉しい検相器
クリップが緑・赤・オレンジの3色で分かりやすい非接触タイプの検相器です。使用していなければ3分後に自動的にオフになる安心設計も魅力。
非接触で検相できるので、感電の危険性を減らせます。また、正相や負相の状態はLEDライトとブザーで確認できます。
ライトにより欠相や脱線の検出も可能なので、1台あれば役に立ちます。付属のユーザーマニュアルは英語ですが、問い合わせは日本語でも可能なので、もしもの時も安心です。
7位 HIOKI (日置電機) 電圧計付検相器 金属非接触型 PD3259

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重量:600g
付属品:携帯用ケース、取扱説明書、単3形アルカリ乾電池
大きなディスプレイで結果が分かりやすい
非接触タイプなので、安全に素早く作業ができる検相器です。被覆電線をクリップで挟むだけで測定ができるのも魅力。
大きなディスプレイに計測結果が表示されるので、誰でも情報把握が簡単です。これ1台で検相器とデジタルマルチメータの2役が可能です。
約10分で自動的にパワーオフされる安全設計も特徴。単3形アルカリ乾電池で連続使用時間は約5時間です。また、3年間の保証期間も付いているので安心して使用できるでしょう。
8位 三和電気計器 クランプメータ 三相交流用検相器 KS-1 KS-1

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重量:212g
付属品:携帯用ケース、取扱説明書、検査合格書
国際安全規格にも準拠した信頼のおける検相器
LEDランプが明るく、日中でも使いやすい検相器です。順相・逆相・欠相の状態をLEDランプで確認ができます。ただし、接触式なので感電には十分に注意して取り扱いましょう。
使用許容時間は220Vで約3時間、480Vで約12分です。0℃から40℃、かつ湿度80%以下の環境下で正常に動作します。
また、この検相器は国際安全規格にも準拠した信頼のおける製品です。付属品として携帯ケースも付いているのでコンパクトに持ち運びも可能です。
おすすめの商品一覧
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4.1 |
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検相器の注意点
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なかには検電機能がついたものもありますが、検相専用の製品は検電器としては使用できません。不正な使用方法をしていると、内部回路が発熱する恐れがあります。
多くの検相器は、本体に取り付けられた吸盤やマグネットを配電盤などに固定して使用できます。しかし、吸盤やマグネットにホコリや汚れが付着している際は、必ずきれいにふき取ってから使用しましょう。
また、検相器は精密機器なので、高温多湿や結露するような場所には保管してはいけません。もちろん、直射日光の当たる場所での保管も危険です。
まとめ
今回は、検相器の原理や選び方、おすすめ商品を紹介しました。検相器としての最低限の機能だけが欲しい人は、接触タイプのシンプルな検相器がおすすめです。また、より安全に作業したい人は非接触タイプの検相器を選ぶと良いでしょう。特にクリップタイプは電線をクリップで挟むだけなので簡単です。
また、配線が混みあっている箇所で使用する場合は、先の細いペンタイプの検相器がおすすめ。求めている機能や使う場所に合わせて、最適な検相器を選んでください。