接地抵抗計はアーステスターとも呼ばれ、アースと地面の電気抵抗を測定するための電気測定器です。共立や三和、日置などの電気計器メーカーが多くの製品を出しています。製品によって測定タイプや機能の違いがあり、高性能品は当然ながら高価です。
新人工事士には手が出しにくいため、レンタル事業を行っている会社も見られます。一人前の電気工事士なら自分用の接地抵抗計を持っておきたいものですが、どんな選び方をすればよいのでしょうか。測定方法や機能面の特徴から、おすすめの接地抵抗計をご紹介します。
絶縁抵抗計との違い
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接地抵抗計と絶縁抵抗計はどちらも電気抵抗を測定し、漏電に備える道具です。しかし、使用する電流がまず違っていて、接地抵抗計は交流、絶縁抵抗計は直流です。その他に、抵抗計の用途とΩで表される測定数値の意味が異なります。逆の用途では使えませんから注意してください。
絶縁抵抗計は、電路とアースに端子を繋いで一定電流を送り、アース側に流れた電流から電路被覆の絶縁を見る計測器具です。もしもアース側に許容値をこえる電流が送られたなら電路の絶縁が悪く、抵抗は小さく表示されます。抵抗が大きいほど絶縁抵抗は良好で、単位はMΩで示されます。
接地抵抗計の用途は、アースから大地に電気が流れやすいかの計測です。測定は基本的に大地とアース間で行なわれ、アースから流した電気がどれだけ送られたかを見ます。接地抵抗計では抵抗、つまりΩが小さいほど接地抵抗が良好な状態です。
接地抵抗計の選び方
接地抵抗計を選ぶなら、まずは本体機能を見ることがおすすめです。採用している測定方法や測定できる最大抵抗値の違いによって適した使用場所が異なります。
また、接地抵抗以外も測定できるモデルも販売されています。多機能であれば便利ですが、価格が高くなっていくので、本当に必要な機能を見極めてください。
測る場所で選ぶ
接地抵抗は、電気回路から漏電が起こった時にアースへきちんと流れるかの数値なので、アース付きの機械であれば重要な項目です。ただ、屋外と屋内では電気機械に対する規格が異なります。測定場所に合わせた接地抵抗計を選びましょう。
屋外なら精密な3電極法
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屋外の電気設備なら、3電極法の接地抵抗計を使いましょう。3電極法はアースと補助接地棒2本を使用する形式です。1本の接地棒をアースから5~10mの距離を置いて土壌に打ち込み、もう1本はさらに5~10m離して打ち込んで電流を見るので、精密な接地抵抗を測定できます。
屋外なら3電極法がおすすめなのは、単に接地棒を打ち込める大地があるからだけではありません。屋外設備に多い300Vを超える電気機械では、接地抵抗の許容値が10Ωなどかなり小さく設定されています。この厳しい基準を満たさなければ送電されないので、精密に測定できる3電極法の機器が必須です。
屋内なら簡易な2電極法
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屋内では接地棒を打ち込む地面が近くにないので、2電極法の接地抵抗計がおすすめです。2電極法では測定対象の接地側電極と既設のアースをつないで接地抵抗を見ます。測定方法が簡単なので示される数値には誤差が含まれるものの、おおよそ正確な数値です。
建物のアース自体は3電極法で測定されて接地抵抗が良好のはずなので、言ってみれば大地の代わりです。また、屋内設備の300V以下の電気機械では接地抵抗の許容値が100Ωと大きめなので、2電極法の接地抵抗計で十分とされています。
両方対応するものも
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2電極法・3電極法のどちらにも対応している接地抵抗計は近年の主流製品です。測定形式によって端子の接続を変えるだけなので、操作は難しくありません。日置や共立などの有名メーカーから販売されています。
測定範囲で選ぶ
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接地抵抗計は、測定範囲の上限が10Ωや100Ω・200Ω、1000Ωなど切り替えられるようになっています。規格で定められた接地抵抗の許容値が小さいなら測定範囲も低い数値で十分に思えるかもしれませんが、実際は広く取られていた方が便利です。
たとえば上限10Ωで接地抵抗を計測した場合、針が振り切れたら接地抵抗が悪いと判断できるものの、どれだけ悪いかは分かりません。その場所の抵抗が11Ωなら測定位置を変えれば下回る可能性もありますが、100Ωだと付近一帯が適していないことになります。
接地抵抗計を使っても、一発でアースに適した位置を見つけ出すことはできません。徐々に位置を絞り込めるように、上限は大きくとりましょう。
デジタル式かアナログ式で選ぶ
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測定器具の表示形式は従来のアナログ式と、近年になって登場したデジタル式の2つがあります。アナログ式は針の振れが細かく分かるのでプロ好み、デジタル式はLED発光やデータ記録ができるなど機能面に違いがあるものの、基本的に自分が見やすい表示形式を選ぶようにしてください。
他の機能と一体化したものを選ぶ
共立や日置などの有名メーカーは複数の計測機能を持っている製品を展開しています。絶縁抵抗や電流・電圧は電設作業でよく検査するものなので、それらを計測できる機能を伴った多機能な製品は便利です。
絶縁抵抗計と接地抵抗計の機能を一体化した絶縁接地抵抗計
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絶縁抵抗計・接地抵抗計の違いは先述した通りですが、絶縁接地抵抗計はこの2つの機能をあわせ持っています。ダイヤルで計測方法を選べるようになっていて、絶縁抵抗はMΩ、接地抵抗はΩで表示されます。電設作業に必須の抵抗測定を1台2役でこなせるため便利です。
ただし、絶縁接地抵抗計での接地抵抗測定は基本的に2電極法となっています。3電極法での計測をしたい場合には別途測定コードと2本の補助接地棒が必要です。
テスターと絶縁抵抗計の機能を一体化したもの
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接地抵抗計に絶縁抵抗の計測、さらに電流・電圧測定のテスターとしての機能まで備えた製品も販売されています。1台あれば各種作業に使えるハイスペック性は大きな魅力です。機能充実の半面で、価格が非常に高価です。電気工事士として働きはじめたばかりでは手を出しにくいかもしれません。
クランプメーターと接地抵抗計の機能を一体化したもの
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クランプ式接地抵抗計やアースクランプという名前がついた製品は、クランプメーターのように電流測定ができ、接地抵抗も測定できます。形状はクランプメーターを踏襲しているため、測定方法は対象となる電路・アースを挟みこむだけです。接地抵抗測定でも補助棒を使ったり、他のアースに繋ぐ必要がありません。
接地抵抗をとても簡単に測定できますが、単独接地では使えない、と但し書きがつきます。1つの配線に複数のアースを設けている多重接地など、特殊な状況でのみ使える計測器です。
これから買うなら最新式がおすすめ
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最新式の接地抵抗計はデジタル式が主流で、さまざまな機能をつけられています。中でも防水機能付きの製品がおすすめです。3電極法では屋外で計測するため水気・汚れと無縁ではいられませんが、防水機能があれば濡れても故障しませんし、汚れても水洗いできます。
接地抵抗計の人気おすすめランキング7選
接地抵抗計の選び方が分かったところで、電気工事士に人気のある製品を見ていきましょう。デジタル式の機種が多いものの、アナログも負けてはいません。メーカーの傾向を見るとやはり国内の計器企業が強く、中でも共立の製品は高い人気を誇っています。
1位 共立電気計器 アナログ接地抵抗計(ソフトケース) MODEL4102A

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重量:600g
測定方式:アナログ式
測定範囲:12Ω / 120Ω / 1200Ω
電極法:2電極法・3電極法
機能:LED警告、防塵・防滴構造
高い人気を持つ高性能なアナログ式
小型なアナログ式でありながら高い性能を持っている、共立電気計器の接地抵抗計です。2電極法・3電極法ともに対応していて場所を選ばず使えます。補助接地棒による抵抗の影響があればLEDで警告してくれるので、精密な測定が可能です。
簡易測定用のプローブもついていて、本体を首にかけたまま簡易測定が行えます。また、バッテリーチェック機能により電池の消耗具合が確認できます。電池消耗による針の振れの誤差を防げるので、アナログ式にありがちな測定ミスが発生しません。
防滴・防塵構造も大きな魅力です。IEC 60529の保護等級試験を通り、IP54と防塵・防滴ともに高い評価を受けています。便利な機能を持ったプロユースの接地抵抗計が欲しい方におすすめの製品です。
2位 日置電機 FT6031-03 接地抵抗計

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重量:570g
測定方式:デジタル式
測定範囲:20Ω / 200Ω / 2000Ω
電極法:2電極法・3電極法
機能:防塵・防水、オートレンジ
防水・防塵機能を持ち丸洗いできる接地抵抗計
日置電機の高機能アーステスターで、高い防水・防塵機能を持っています。水滴に強いのはもちろん、汚れたら水洗いも可能です。コード端子差し込み部は蓋付きなので内部に浸水する心配がありません。濡れた後はしっかり乾かしてから使いましょう。
本体には測定範囲を設定するダイヤルがありません。これは機器本体にオートレンジ機能があり、計測した抵抗値に合わせて表示を調整してくれるためです。想定される抵抗値にダイヤルをセットする手間がないため、接地棒を差し込んだらスムーズに測定へと移れます。
3位 共立電気計器 デジタル接地抵抗計 KEW 4105DL

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重量:690g
測定方式:デジタル式
測定範囲:20Ω / 200Ω / 2000Ω
電極法:2電極法・3電極法
計測の応答速度が速いアーステスター
多くの機能をあわせ持っている製品で、計測の応答速度はなんと2秒です。屋外での接地抵抗は一度の計測で終わることが少ないですから、1回の計測がすぐ終わるのはストレス回避につながりますね。
地電圧は25Vまで測定できるので測定ノイズに強く、精密な測定を実現してくれます。防水性能付きなので、ちょっと濡れても故障の心配はありません。プロの電気工事士として作業の精度・速さにこだわりたい方におすすめです。
4位 共立電気計器 4300 デジタル簡易接地抵抗計

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重量:220g
測定方式:デジタル式
測定範囲:200Ω / 2000Ω
電極法:2電極法
機能:100Ω以下でブザー通知、活線警告機能、AC/DC電圧測定、LEDライト搭載
屋内での簡易計測にピッタリ!
ちょっと珍しいペン型の接地抵抗計です。測定方法は2電極法なので屋外計測には向きませんが、屋内なら便利に使えるのではないでしょうか。細い形状なので入り組んだ電路にもスッと入ってくれます。
AC/DC電圧も測定できるテスター機能付きです。LEDライト付きのため、主電源を落とした室内でも使いやすいでしょう。
5位 SMART SENSOR 接地抵抗計 AR4105B

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重量:675g
測定方式:デジタル式
測定範囲:20Ω / 200Ω / 2000Ω
電極法:2電極法・3電極法
測定範囲が広くシンプルな使用感
大きなディスプレイで見やすい接地抵抗計です。操作ダイヤルやボタンもシンプルで扱いやすくなっています。測定方式は2電極法・3電極法ともに使えて、測定範囲が広いため、幅広い用途に使えます。機能面が乏しいのは玉に瑕ですが、接地抵抗計の使い方を覚えるためには適した製品です。
6位 三和電気計器 接地抵抗計 アナログ式 PDR-302

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重量:500g
測定方式:アナログ式
測定範囲:10Ω / 100Ω / 1000Ω
電極法:2電極法・3電極法
機能:抵抗過大警告ランプ
プロ好みなアナログ式計測器
2電極法と3電極法の両方ができるので、屋内・屋外どちらでも使えます。付属品がしっかり多いので、届いたその日から測定に使えるでしょう。測定範囲がやや狭いため、屋外大型電路ではやや不足気味かもしれません。
7位 デジタル接地抵抗計

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重量:700g
測定方式:デジタル式
測定範囲:20Ω / 200Ω / 2000Ω
電極法:3電極法
機能:AC/DC電圧測定、オーバーレンジ表示、低電圧表示、自動電源OFF
多機能な接地抵抗計
接地抵抗以外に電圧測定もできます。接地抵抗に影響を与える地電圧の測定や、測定範囲を超えた数値なら警告表示するなど機能が豊富です。海外製品なのでサポートがされるのかという点に不安が残ります。
おすすめの商品一覧
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3電極法には接地棒が必須
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3電極法での計測では、地面に打ち込むための接地棒が不可欠です。3電極法採用の接地抵抗計なら基本的に付属しているものの、使っているうちに劣化は免れませんから定期的に購入することになります。
接地棒を選ぶなら耐久性・防錆性の高い製品にしましょう。とくに設定抵抗の測定では湿った地面が適しているため、差し込んだ接地棒の上から水をかけることもあります。接地棒が錆びると電気抵抗を著しく上げてしまうため、防錆性は重要です。
まとめ
接地抵抗計を使用することで、万が一の漏電時にアースから地面へと電気がきちんと逃げていくかを確かめられます。選ぶ際には屋外・屋内のどちらで使用するかにより、3電極法・2電極法の計測方式を選びましょう。
複合機能の製品は価格が高くなりやすいものの、テスター機能であればそこまで価格は吊り上がりません。最新機種は防水のような便利な機能も持っているため、予算と相談しながら使いやすい製品を見つけてください。